日本の三畳紀・ジュラ紀層状チャートに記録された地球外物質の付加

層状チャートは堆積速度が非常に遅く,陸源性の粗粒砕屑物を含まないため,地球外物質の混入をみつけやすいという特徴がある.本研究では,西南日本のジュラ紀付加体である美濃帯および秩父帯の三畳系・ジュラ系層状チャートに残された地球外物質付加の記録についてレビューした.これまでの研究では,コズミックスフェルールとよばれる大気圏突入時に溶融した宇宙塵が,美濃-丹波帯および秩父帯の三畳紀・ジュラ紀層状チャートから発見されている.これらのコズミックスフェルールは,鉄質タイプと珪質タイプに分類され,鉱物組成や全岩化学組成から地球外物質であることが明らかにされている.また層状チャートの白金族元素やオスミウム同位体...

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Published in地質学雑誌 Vol. 121; no. 3; pp. 91 - 108
Main Authors 佐藤, 峰南, 尾上, 哲治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地質学会 15.03.2015
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ISSN0016-7630
1349-9963
DOI10.5575/geosoc.2014.0019

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Summary:層状チャートは堆積速度が非常に遅く,陸源性の粗粒砕屑物を含まないため,地球外物質の混入をみつけやすいという特徴がある.本研究では,西南日本のジュラ紀付加体である美濃帯および秩父帯の三畳系・ジュラ系層状チャートに残された地球外物質付加の記録についてレビューした.これまでの研究では,コズミックスフェルールとよばれる大気圏突入時に溶融した宇宙塵が,美濃-丹波帯および秩父帯の三畳紀・ジュラ紀層状チャートから発見されている.これらのコズミックスフェルールは,鉄質タイプと珪質タイプに分類され,鉱物組成や全岩化学組成から地球外物質であることが明らかにされている.また層状チャートの白金族元素やオスミウム同位体比の分析から,三畳紀後期の層状チャートには,隕石衝突の証拠が残されていることが明らかになった.
ISSN:0016-7630
1349-9963
DOI:10.5575/geosoc.2014.0019