COVID-19の治療に関するインフォームド・コンセントにおける倫理的課題についての実態調査

COVID-19による入院時の同意説明は、感染症対策として制限された環境下で実施されるため様々な課題が想定された。そこで本研究では同意取得時に生じた倫理的課題を明らかにしベストプラクティスを検討するため、COVID-19 の治療に関する同意説明時の実態について東京医科歯科大学病院に入院したCOVID-19 重症呼吸不全患者とその家族に対する調査を実施した。質問紙調査では、患者72 名、家族53名の計125名から回答を得た。さらに入院時の同意取得についての心境や価値観について具体的な意見を得ることを目的として、インタビュー調査(患者6名、家族4名) を実施した。調査の結果、治療方針の説明は患者・...

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Published in生命倫理 Vol. 34; no. 1; pp. 21 - 32
Main Authors 石原 恵依子, 甲畑 宏子, 鵜川 豊世武, 大友 康裕, 荒井 裕国, 増田 孝広, 神里 彩子, 宮﨑 泰成, 吉田 雅幸, 小峯 真理子, 長岡 英気
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生命倫理学会 30.09.2024
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ISSN1343-4063
2189-695X
DOI10.20593/jabedit.34.1_21

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Summary:COVID-19による入院時の同意説明は、感染症対策として制限された環境下で実施されるため様々な課題が想定された。そこで本研究では同意取得時に生じた倫理的課題を明らかにしベストプラクティスを検討するため、COVID-19 の治療に関する同意説明時の実態について東京医科歯科大学病院に入院したCOVID-19 重症呼吸不全患者とその家族に対する調査を実施した。質問紙調査では、患者72 名、家族53名の計125名から回答を得た。さらに入院時の同意取得についての心境や価値観について具体的な意見を得ることを目的として、インタビュー調査(患者6名、家族4名) を実施した。調査の結果、治療方針の説明は患者・家族ともに9割程度が理解できたと回答したが、説明を受けた患者であっても治療に関する意思表示が明確になされていない、あるいは当時の記憶が曖昧となっている可能性が示された。また、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の認知度は依然として低く、治療に関する知識の不足が家族との事前の話し合いを困難にさせていることが示唆された。健常な一般市民もACPについて知り、侵襲性の高い治療や終末期医療について家族と話し合う機会が必要である。
ISSN:1343-4063
2189-695X
DOI:10.20593/jabedit.34.1_21