市町村統括保健師の役割遂行尺度の開発
目的 市町村において保健師の分散配置が進む中,市町村統括保健師の役割の遂行状況を測定できる尺度を開発し,その信頼性・妥当性を検証することを目的とした。 方法 インタビューから質的帰納的に整理した尺度試案について,エキスパートに内容妥当性の検討を依頼して修正した17項目の尺度案について,東北 3 県を除いた全市町村(1,621か所)の統括保健師もしくは保健師の中で最も高い職位を有する保健師に対して自記式質問紙調査を行った。 結果 1,036通の回収が得られ,931通を分析に用いた(有効回収率57.4%)。このうち,統括保健師ありは406件であった。項目分析の結果 1 項目を削除し,主成分分析を行...
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Published in | 日本公衆衛生雑誌 Vol. 60; no. 5; pp. 275 - 284 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本公衆衛生学会
2013
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0546-1766 2187-8986 |
DOI | 10.11236/jph.60.5_275 |
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Summary: | 目的 市町村において保健師の分散配置が進む中,市町村統括保健師の役割の遂行状況を測定できる尺度を開発し,その信頼性・妥当性を検証することを目的とした。 方法 インタビューから質的帰納的に整理した尺度試案について,エキスパートに内容妥当性の検討を依頼して修正した17項目の尺度案について,東北 3 県を除いた全市町村(1,621か所)の統括保健師もしくは保健師の中で最も高い職位を有する保健師に対して自記式質問紙調査を行った。 結果 1,036通の回収が得られ,931通を分析に用いた(有効回収率57.4%)。このうち,統括保健師ありは406件であった。項目分析の結果 1 項目を削除し,主成分分析を行った上で,主因子法,プロマックス回転による因子分析を行った。複数の因子に高い負荷量を持つ 1 項目を削除し15項目 3 因子を採用し尺度とした。累積寄与率は56.1%であった。3 因子は【自治体全体の保健活動の推進】,【職能代表としての調整の遂行】,【部下の保健師の能力開発】と命名した。 市町村統括保健師役割遂行尺度(RMSP: Role scale of municipal supervising public health nurses)全体の信頼性係数は折半法(spearman-brown の公式)で0.84,Cronbach's α 係数で0.91であり,内的整合性が確認された。妥当性の検討として,既存の管理的能力を測定する尺度得点,統括保健師としての役割意識の強さ,統括保健師としての自信との相関をみたところ,有意な相関(P<0.01)を示した。また職位別,保健師経験年数別に統括保健師をおいていない分散配置の自治体の回答と比較したところ,ほとんどの場合において統括保健師ありの群の得点が高かった。 結論 開発した尺度は統括保健師の役割の遂行状況を測定する尺度としての信頼性・妥当性を有すると考えられた。 |
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ISSN: | 0546-1766 2187-8986 |
DOI: | 10.11236/jph.60.5_275 |