精神障害者に対する保健所のデイケア実施状況と今後の方向性 障害者自立支援法施行後の全国横断調査結果より

目的 保健所デイケアの実施状況を分析し,今後の方向性と課題を考察した。 方法 全国の保健所517施設に平成20年度に郵送調査を実施し,単純集計•保健所区分別割合を比較した。保健所区分は都道府県型,政令指定都市型,中核市•保健所政令市型,特別区型に分類した。 結果 回収数は411施設(79.5%)であった。保健所デイケアを実施している施設は128施設(31.1%)で,保健所区分別では,都道府県68施設(21.5%),政令指定都市16施設(43.2%),中核市•保健所政令市31施設(73.8%),特別区13施設(81.3%)であった。デイケア利用者特性は,統合失調症の慢性期で40歳代男性が最も多か...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 58; no. 12; pp. 1049 - 1055
Main Authors 山下, 典子, 畑下, 博世, 植村, 直子, 有埜, みや子, 角野, 文彦, 佐伯, 圭吾, 車谷, 典男, 山田, 全啓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2011
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ISSN0546-1766
2187-8986
DOI10.11236/jph.58.12_1049

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Summary:目的 保健所デイケアの実施状況を分析し,今後の方向性と課題を考察した。 方法 全国の保健所517施設に平成20年度に郵送調査を実施し,単純集計•保健所区分別割合を比較した。保健所区分は都道府県型,政令指定都市型,中核市•保健所政令市型,特別区型に分類した。 結果 回収数は411施設(79.5%)であった。保健所デイケアを実施している施設は128施設(31.1%)で,保健所区分別では,都道府県68施設(21.5%),政令指定都市16施設(43.2%),中核市•保健所政令市31施設(73.8%),特別区13施設(81.3%)であった。デイケア利用者特性は,統合失調症の慢性期で40歳代男性が最も多かった。「今後保健所デイケア継続は必要」と回答したのは60施設(46.9%),「新たなデイケアが必要」と回答したのは33施設(26.2%)であった。新たな保健所デイケア対象は,「うつ病」19施設(57.6%),「統合失調症」18施設(54.5%),「発達障害」18施設(54.5%)が上位であった。  保健所デイケアを実施していない施設は283施設(68.9%)であった。過去の保健所デイケア実施数は250施設(88.3%)で,保健所区分別では,都道府県227施設(92.3%),政令指定都市12施設(57.1%),中核市•保健所政令市 8 施設(72.7%),特別区 3 施設(100%)であった。デイケア終了時期は平成17年以降が148施設(59.2%),終了理由は「社会資源の充実」が172施設(68.8%)と最も多かった。「今後保健所デイケアは必要」と回答したのは,15施設(5.3%)で,新たな保健所デイケア対象は,「ひきこもり」13施設(86.7%),「発達障害」11施設(73.3%),「統合失調症」3 施設(20.0%)であった。「管内デイケア実施施設への支援」では,「ケース検討」が135施設(47.9%)で最も多かった。 結論 都道府県型保健所では保健所デイケアを終了し市町村のデイケア支援などに役割を移行している状況が示されたが,社会資源が充実していない等の理由で保健所デイケアを継続している施設においては,社会資源状況を踏まえて保健所デイケア継続の有無を検討する必要がある。また政令指定都市型,中核市•保健所政令市型,特別区型保健所では,従来どおり統合失調症の利用者を中心とした保健所デイケア,もしくは統合失調症以外の疾患を持つ利用者への保健所デイケアを検討することが方向性として考えられる。しかし,都道府県型保健所と同様に他の社会資源状況との関連を検討し,保健所のデイケア継続の有無や内容を決めることが課題である。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.58.12_1049