経鼻胃管による経腸栄養は嚥下性肺炎を誘発するのか

経鼻胃管(NG)から経腸栄養(EN)を施行すれば,肺炎に罹患する危険性は高まるのか?ICUに収容された急性期の患者なのか,あるいは脳血管障害の後に嚥下障害が発症した慢性期の患者なのか,患者の背景を明確にする必要がある.欧米では古くから多くの後ろ向き研究の報告があるが,総じてNGと嚥下性肺炎の関連性ありとされてきた.一方,前向き試験においては,大規模で各群がうまくマッチされ無作為に割り付けられた報告はみられない.前向きの無作為比較試験において,ENを施行するにあたりNGの口径を細くしたり,小腸に留置することにより嚥下性肺炎を予防する効果は認められなかった.現在までのところ,NGが嚥下性肺炎を誘発...

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Published in日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 Vol. 21; no. 3; pp. 270 - 276
Main Authors 道広, 博之, 高橋, 雄介, 坪井, 和美, 山下, 芳典, 吉川, 幸織, 松川, 洋平, 竹中, 千恵, 白野, 容子, 大河内友美, 原田, 洋明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 28.12.2011
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ISSN1881-7319
2189-4760
DOI10.15032/jsrcr.21.3_270

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Summary:経鼻胃管(NG)から経腸栄養(EN)を施行すれば,肺炎に罹患する危険性は高まるのか?ICUに収容された急性期の患者なのか,あるいは脳血管障害の後に嚥下障害が発症した慢性期の患者なのか,患者の背景を明確にする必要がある.欧米では古くから多くの後ろ向き研究の報告があるが,総じてNGと嚥下性肺炎の関連性ありとされてきた.一方,前向き試験においては,大規模で各群がうまくマッチされ無作為に割り付けられた報告はみられない.前向きの無作為比較試験において,ENを施行するにあたりNGの口径を細くしたり,小腸に留置することにより嚥下性肺炎を予防する効果は認められなかった.現在までのところ,NGが嚥下性肺炎を誘発するとの決定的な証拠はなく,その因果関係は不明と考えざるをえない.NGが挿入されENが施行される場合には,その管理が最も重要であるが,薬剤や口腔ケアなどさまざまな予防対策を講じる必要がある.
ISSN:1881-7319
2189-4760
DOI:10.15032/jsrcr.21.3_270