脳卒中後患者における異常歩行と下肢筋活動の変化

脳卒中後患者は多様な後遺症が生じることから,歩行速度の低下や非対称的な歩行,歩行中の下肢筋活動の変化など異 常歩行として多くの特徴が報告されている.その中でも下肢筋活動の変化は臨床的に直接評価することが難しく,研究領域に おいても定量的な報告が十分とは言い難い.特に,特徴的な筋活動パターンの 1 つとして報告されている筋の同時活動(同時 収縮)は,臨床的には中枢神経系の障害による異常筋活動として解釈されることが多いが,研究報告では姿勢の不安定性に対 する代償的な姿勢制御戦略としての作用が示唆されている.本稿では我々が行ってきた研究成果を中心に,脳卒中後患者にお ける歩行中の筋の同時活動が果たし...

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Published inバイオメカニズム学会誌 Vol. 46; no. 4; pp. 228 - 234
Main Author 北谷, 亮輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published バイオメカニズム学会 2022
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ISSN0285-0885
DOI10.3951/sobim.46.4_228

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Summary:脳卒中後患者は多様な後遺症が生じることから,歩行速度の低下や非対称的な歩行,歩行中の下肢筋活動の変化など異 常歩行として多くの特徴が報告されている.その中でも下肢筋活動の変化は臨床的に直接評価することが難しく,研究領域に おいても定量的な報告が十分とは言い難い.特に,特徴的な筋活動パターンの 1 つとして報告されている筋の同時活動(同時 収縮)は,臨床的には中枢神経系の障害による異常筋活動として解釈されることが多いが,研究報告では姿勢の不安定性に対 する代償的な姿勢制御戦略としての作用が示唆されている.本稿では我々が行ってきた研究成果を中心に,脳卒中後患者にお ける歩行中の筋の同時活動が果たしている役割について解説する.
ISSN:0285-0885
DOI:10.3951/sobim.46.4_228