肺洗浄の洗浄効果について胸部X線画像解析により定量評価した検討

[背景]肺胞腔内に蛋白が異常に貯留する肺胞蛋白症の治療法として,肺内を洗浄する片側全肺洗浄(Unilateral Whole Lung Lavage:UWLL)があり,一般的に治療効果を治療前後の胸部X線画像の濃淡を目視で評価している.今回,洗浄効果を画像解析により定量評価した.[方法]UWLLを施行した 37歳男性,74.9 kgと55歳男性,75.0 kgの2例のUWLL前後に撮影された胸部X線画像を解析した.ImageJを用いて肺野領域を手動でトレースし関心領域を設定した.そして,左右肺それぞれの濃度ヒストグラムを作成した.また,症例ごとに領域内の平均ピクセル数を算出し比較検討した.[結...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual57; no. Abstract; p. S244_1
Main Authors 小笠原, 順子, 長沼, 紘平, 大湯, 和彦, 後藤, 武, 成田, 将崇, 橋場, 英二, 加藤, 尚嵩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2019
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual57.S244_1

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Summary:[背景]肺胞腔内に蛋白が異常に貯留する肺胞蛋白症の治療法として,肺内を洗浄する片側全肺洗浄(Unilateral Whole Lung Lavage:UWLL)があり,一般的に治療効果を治療前後の胸部X線画像の濃淡を目視で評価している.今回,洗浄効果を画像解析により定量評価した.[方法]UWLLを施行した 37歳男性,74.9 kgと55歳男性,75.0 kgの2例のUWLL前後に撮影された胸部X線画像を解析した.ImageJを用いて肺野領域を手動でトレースし関心領域を設定した.そして,左右肺それぞれの濃度ヒストグラムを作成した.また,症例ごとに領域内の平均ピクセル数を算出し比較検討した.[結果]肺野内の濃度ヒストグラムをFig.1に示す.UWLL後でヒストグラムのピークが左方移動し,症例ごとの平均ピクセル値がUWLL前後でPt.1では124.5±28.9から110.8±29.7,Pt.2は116.5±26.3から104.0±33.6に減少した.[考察]濃度ヒストグラムは左方移動し平均ピクセル値も減少したことによりX線の透過性が亢進したことを示す.このことからUWLLにより異常分泌物が排出され肺内の含気率が増加し透過性が改善したと考える.[結語]UWLL前後のX線胸部写真を定量解析することで洗浄効率を評価する一助になると考える.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual57.S244_1