ロービジョンと表情認知の基礎的研究 顔認知に及ぼす顔サイズと網膜偏心度の効果

顔認知困難が中心視野欠損のある患者に多く見られる訴えであることはよく知られている。中心視野欠損を有する患者は偏心視で顔認知を行わなければならない。本研究では視覚正常者を対象として網膜偏心度別に顔認知に及ぼす顔サイズの効果について検討した。実験1では、人物同定と表情識別の顔サイズ閾を網膜偏心度別に測定した。人物同定の顔サイズ閾に及ぼす網膜偏心度の効果は表情認知よりも大きかった。実験2では、網膜偏心度0度と10度において、顔サイズ別に表情強度閾を測定した。網膜偏心度別に臨界顔サイズを推定したところ、網膜偏心度10度の臨界顔サイズは0度のときよりも大きくなることがわかった。顔サイズ閾と臨界顔サイズは...

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Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 43; pp. 47 - 53
Main Author 川嶋, 英嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 2014
日本視能訓練士協会
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ISSN0387-5172
1883-9215
DOI10.4263/jorthoptic.043S202

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Summary:顔認知困難が中心視野欠損のある患者に多く見られる訴えであることはよく知られている。中心視野欠損を有する患者は偏心視で顔認知を行わなければならない。本研究では視覚正常者を対象として網膜偏心度別に顔認知に及ぼす顔サイズの効果について検討した。実験1では、人物同定と表情識別の顔サイズ閾を網膜偏心度別に測定した。人物同定の顔サイズ閾に及ぼす網膜偏心度の効果は表情認知よりも大きかった。実験2では、網膜偏心度0度と10度において、顔サイズ別に表情強度閾を測定した。網膜偏心度別に臨界顔サイズを推定したところ、網膜偏心度10度の臨界顔サイズは0度のときよりも大きくなることがわかった。顔サイズ閾と臨界顔サイズは中心視野欠損を有する患者の顔認知困難を客観的に評価するのに有用な指標であることが示唆された。
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.043S202