電気インピーダンス・トモグラフィー(EIT)法とスパースベイジアン学習(SBL)を融合させた浮腫画像再構成アルゴリズム

電気インピーダンストモグラフィ(EIT)は,外周に多数配置した電極から電流を印加し,測定したインピーダンスZから導電率分布σを画像再構成する方法である。近年、主にがん治療の晩期障害として発症するリンパ浮腫などの皮下細胞外液のσに局所的空間変化が生じる疾患を非侵襲かつ高速に可視化する診断技術として期待されている。近年、EITとスパースベイズ学習(SBL)との融合が検討されており、σの局所的空間変化の高精度な可視化が取り組まれている。そこで本研究では、SBLを用いた周波数差EIT(fdEIT)を提案し、その提案手法のリンパ浮腫への適応を検証する。提案手法は、ステップ1: ブロック化列ベクトルの形成...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual61; no. Abstract; p. 146_1
Main Authors 武居, 昌宏, 小川, 良磨, 秋田, 新介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2023
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
Online AccessGet full text
ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual61.146_1

Cover

More Information
Summary:電気インピーダンストモグラフィ(EIT)は,外周に多数配置した電極から電流を印加し,測定したインピーダンスZから導電率分布σを画像再構成する方法である。近年、主にがん治療の晩期障害として発症するリンパ浮腫などの皮下細胞外液のσに局所的空間変化が生じる疾患を非侵襲かつ高速に可視化する診断技術として期待されている。近年、EITとスパースベイズ学習(SBL)との融合が検討されており、σの局所的空間変化の高精度な可視化が取り組まれている。そこで本研究では、SBLを用いた周波数差EIT(fdEIT)を提案し、その提案手法のリンパ浮腫への適応を検証する。提案手法は、ステップ1: ブロック化列ベクトルの形成、ステップ2: σの先験情報を用いた皮下脂肪識別、ステップ3:時間相関抽出から構成される。尚、本研究は千葉大学大学院医学研究院倫理審査委員会の承認を得て実施した(M10243)。EITにより皮下組織周辺の局所変化が画像再構成され、リンパシンチグラフィによる重症度と導電率変化の相関が確認された。皮下組織層における導電率分布は一様ではなく、リンパ鬱滞が顕著な部位の導電率変化が大きかった。また、重症例のEIT画像による所見は、コンピュータ断層撮影(CT)画像・超音波画像の敷石状所見ともよく一致した。一方で、生体インピーダンス(BIA)による所見とは一致しない例も確認され、線維化によるインピーダンス値低下が原因と考えられる。EITによるリンパ浮腫への適応の可能性は示唆されたものの、さらなる検討が必要である。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual61.146_1