Interval appendectomyを行った魚骨による膿瘍形成性虫垂炎の1例
魚骨による急性虫垂炎の報告は散見されるが,interval appendectomy(以下IA)を施行した報告は認めない.IAを施行しえた魚骨による膿瘍形成性虫垂炎の1例を経験したので報告する.症例は80歳,男性.2日前より腹痛が出現し経口摂取困難となり,急性虫垂炎の疑いで当院へ紹介受診となった.右下腹部に圧痛を認めた.腹部CTで膿瘍内に線状のX線不透過像を認め,魚骨による膿瘍形成性虫垂炎と診断した.抗菌薬による保存的治療を行い,約6カ月後に腹腔鏡下のIAを施行した.虫垂の腫大は認めず,虫垂先端に癒着を認めたものの,切除可能であった.術後は合併症なく経過し,術後3日で退院となった.虫垂内部には...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 2; pp. 256 - 259 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2024
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.85.256 |
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Summary: | 魚骨による急性虫垂炎の報告は散見されるが,interval appendectomy(以下IA)を施行した報告は認めない.IAを施行しえた魚骨による膿瘍形成性虫垂炎の1例を経験したので報告する.症例は80歳,男性.2日前より腹痛が出現し経口摂取困難となり,急性虫垂炎の疑いで当院へ紹介受診となった.右下腹部に圧痛を認めた.腹部CTで膿瘍内に線状のX線不透過像を認め,魚骨による膿瘍形成性虫垂炎と診断した.抗菌薬による保存的治療を行い,約6カ月後に腹腔鏡下のIAを施行した.虫垂の腫大は認めず,虫垂先端に癒着を認めたものの,切除可能であった.術後は合併症なく経過し,術後3日で退院となった.虫垂内部には魚骨と考えられる針状物質を2本認め,虫垂先端に潰瘍瘢痕を認めた.魚骨による急性虫垂炎は穿孔のリスクが高いという報告もあり,診断時に穿孔や膿瘍を認めない症例は,速やかな虫垂切除術が必要と考えられるが,既に膿瘍形成を認める場合にはIAも治療戦略の1つとなり得ると思われた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.85.256 |