悪性脳腫瘍に対する穿刺型拡散光照射による光線力学療法:治療領域推定のためのin silico検討

我々は、悪性脳腫瘍に対する穿刺型拡散光照射による光線力学療法の実現に向けて、光線追跡シミュレーションを用いて組織内光伝搬を検討した。悪性脳腫瘍に対するサルベージ治療として、光線力学療法(PDT)の有用性が示されている。PDTは腫瘍親和性を有する光感受性薬剤を投与後、脳腫瘍表面からのレーザー光照射による選択的治療であるが、現状のPDTは摘出が困難な深部腫瘍には適応できない。 我々は脳腫瘍に細径光照射プローブを穿刺して行う新たなPDTの実現を目指し、腫瘍組織内光伝搬の検討を目的とした。先行研究では、神経膠腫細胞の皮下移植マウスモデルを使用し、レザフィリンの腹腔内投与後、664 nm半導体レーザーの...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual62; no. Abstract; p. 206_1
Main Authors 齋藤, 祐樹, 佐藤, 廉, 永井, 健太, 深見, 真二郎, 小川, 恵美悠, 熊谷, 寛, 矢崎, 優翔, 秋元, 治朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2024
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual62.206_1

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Summary:我々は、悪性脳腫瘍に対する穿刺型拡散光照射による光線力学療法の実現に向けて、光線追跡シミュレーションを用いて組織内光伝搬を検討した。悪性脳腫瘍に対するサルベージ治療として、光線力学療法(PDT)の有用性が示されている。PDTは腫瘍親和性を有する光感受性薬剤を投与後、脳腫瘍表面からのレーザー光照射による選択的治療であるが、現状のPDTは摘出が困難な深部腫瘍には適応できない。 我々は脳腫瘍に細径光照射プローブを穿刺して行う新たなPDTの実現を目指し、腫瘍組織内光伝搬の検討を目的とした。先行研究では、神経膠腫細胞の皮下移植マウスモデルを使用し、レザフィリンの腹腔内投与後、664 nm半導体レーザーの穿刺照射による治療領域のをin vivo検討が行われた。この実験を再現するように、モンテカルロ法による光線追跡シミュレーションを行い、光強度分布を算出した。シミュレーションでは、腫瘍組織を楕円回転体で模擬した3D CADモデルを作成し、吸収係数0.431 cm -1で、散乱係数23.43 cm -1、非等方パラメータ0.9、屈折率1.4と設定した。腫瘍モデルの中央に周方向に均一照射が可能な細径プローブの穿刺を模擬し、拡散光照射による組織内光伝播シミュレーションを行った。先行研究の壊死領域と今回の計算結果の差から、治療効果の推定には光伝搬解析に加えて血管遮断による影響を考慮したモデル構築の必要性が示唆された。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual62.206_1