腎細胞癌術後7年目に発症した小腸転移による腸重積の1例

症例は66歳,女性。7年前に腎癌で左腎摘出術を受けていた。数日前から発熱,嘔吐を自覚し,当院を受診した。来院時,腹部に圧痛は認めず,血液検査ではWBC 12,900/mm3,CRP 32.10mg/dLと炎症反応の上昇を認めた。腹部造影CT検査では空腸が腸重積をきたし,先進部には腫瘍性病変の存在が疑われた。病歴も考慮すると,腎癌の小腸転移が疑われた。姑息的手術として,小腸部分切除術を施行した。病理診断は腎癌の小腸転移に矛盾しない所見であった。術後経過は良好で,術後16日目に退院したが,全身化学療法は希望されず術後1年目に原病死した。腎細胞癌の小腸転移の頻度は少ないが,腎細胞癌の治療歴のある患者...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; pp. 741 - 744
Main Authors 奥村, 隆志, 前原, 直樹, 藤元, 静太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2024
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.44.741

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Summary:症例は66歳,女性。7年前に腎癌で左腎摘出術を受けていた。数日前から発熱,嘔吐を自覚し,当院を受診した。来院時,腹部に圧痛は認めず,血液検査ではWBC 12,900/mm3,CRP 32.10mg/dLと炎症反応の上昇を認めた。腹部造影CT検査では空腸が腸重積をきたし,先進部には腫瘍性病変の存在が疑われた。病歴も考慮すると,腎癌の小腸転移が疑われた。姑息的手術として,小腸部分切除術を施行した。病理診断は腎癌の小腸転移に矛盾しない所見であった。術後経過は良好で,術後16日目に退院したが,全身化学療法は希望されず術後1年目に原病死した。腎細胞癌の小腸転移の頻度は少ないが,腎細胞癌の治療歴のある患者が貧血や腸閉塞をきたした場合に鑑別が必要となり,泌尿器科だけでなく腹部救急に携わる診療科でも遭遇する機会があると思われる。今回,腎細胞癌術後7年目に発症した小腸転移による腸重積の1例を経験したので報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.44.741