小学生を対象としたアンガーマネジメント・プログラムの有効性:学級での実践に向けた小集団での予備的検討
本研究では,小学生を対象としたユニバーサルな予防的教育としてのアンガーマネジメント・プログラム『いかりやわらかレッスン』(全5回・1回45分)の有効性を予備的に検討するため,小グループでの実践を行った。異なる2つの地域において募集した小学3~6年生計25名を対象とし,プログラムの内容理解度,児童の自己回答および保護者評定による怒りや攻撃性のプログラム前後での変化,1ヶ月後のスキル使用頻度の3つの点から,妥当性と有効性とを検討した。その結果,内容理解度とスキル使用頻度から本プログラムの内容が小学3~6年生を対象としたものとして概ね妥当であること,児童の自己評定と保護者評定による攻撃性の得点におい...
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| Published in | 発達心理学研究 Vol. 32; no. 4; pp. 245 - 254 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本発達心理学会
2021
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| Subjects | |
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| ISSN | 0915-9029 2187-9346 |
| DOI | 10.11201/jjdp.32.245 |
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| Summary: | 本研究では,小学生を対象としたユニバーサルな予防的教育としてのアンガーマネジメント・プログラム『いかりやわらかレッスン』(全5回・1回45分)の有効性を予備的に検討するため,小グループでの実践を行った。異なる2つの地域において募集した小学3~6年生計25名を対象とし,プログラムの内容理解度,児童の自己回答および保護者評定による怒りや攻撃性のプログラム前後での変化,1ヶ月後のスキル使用頻度の3つの点から,妥当性と有効性とを検討した。その結果,内容理解度とスキル使用頻度から本プログラムの内容が小学3~6年生を対象としたものとして概ね妥当であること,児童の自己評定と保護者評定による攻撃性の得点において一部減少が認められたことから,本プログラムが小学生の攻撃性に対して一定の有効性をもつ可能性が示唆された。また,児童の自己評定による攻撃的行動の得点においては実施グループ間で変化に違いが見られ,事前に高い値を示していたグループで減少が認められた。プログラム内容の理解度とこれらの測定値との相関は,敵意との間でのみ有意であった。今後は,対象者の人数を増やすとともに,通常学級における実践を通して,ユニバーサルな教育プログラムとしての有効性の検討を行うことが求められる。 |
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| ISSN: | 0915-9029 2187-9346 |
| DOI: | 10.11201/jjdp.32.245 |