イマチニブによる術前化学療法後に根治切除した十二指腸GISTの1例

症例は46歳の女性で,上腹部痛を主訴に当院を紹介受診した.CTで肝門部に周囲の臓器を圧排する150mm大の巨大腫瘍を認め,精査の結果,十二指腸GISTと診断した.外科的治療を考慮したが手術先行ではR0切除が困難と予想されたため,術前化学療法としてイマチニブ投与の方針とした.イマチニブ投与により腫瘍は著明に縮小し,投与24カ月目に膵頭十二指腸切除術によりR0切除を施行しえた.現在術後54カ月生存中である.GISTの治療の原則は根治的外科切除であり,R0切除不能な十二指腸GISTの治療戦略としては,切除率向上を目的としたイマチニブによるdownsizing chemotherapyが有用な可能性が...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 3; pp. 379 - 384
Main Authors 大塚, 将之, 酒井, 望, 鈴木, 大亮, 内藤, 慶, 高野, 重紹, 高屋敷, 吏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2024
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.85.379

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Summary:症例は46歳の女性で,上腹部痛を主訴に当院を紹介受診した.CTで肝門部に周囲の臓器を圧排する150mm大の巨大腫瘍を認め,精査の結果,十二指腸GISTと診断した.外科的治療を考慮したが手術先行ではR0切除が困難と予想されたため,術前化学療法としてイマチニブ投与の方針とした.イマチニブ投与により腫瘍は著明に縮小し,投与24カ月目に膵頭十二指腸切除術によりR0切除を施行しえた.現在術後54カ月生存中である.GISTの治療の原則は根治的外科切除であり,R0切除不能な十二指腸GISTの治療戦略としては,切除率向上を目的としたイマチニブによるdownsizing chemotherapyが有用な可能性がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.85.379