関東地方下のフィリピン海プレートの3次元形状表現と弾性板としての変形の特徴

フィリピン海プレートの二つのモデルについて、3次元的な形状表現を得るとともに、有限要素法による変形、応力分布の解析を行った。  先ず、プレートモデルの立体的形状を視覚的に捉えるために、ワイヤーフレームによる表現、アナグリフ方式 (赤青メガネ方式) による表現、陰影による表現、の3種類の表現方法を試み、それぞれの方法の特徴を比較するとともに、モデルによる形状の違いを検討した。次に、大陸プレート下に沈み込むフィリピン海プレートを模して、沈み込みの方向に圧縮されるようにモデルの一端に強制変位を与えて、その変形の様子を有限要素法により計算し、両モデルの変位分布、応力分布の特徴について比較するとともに、...

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Published inPapers in Meteorology and Geophysics Vol. 46; no. 4; pp. 107 - 117
Main Authors 伊藤, 秀美, 原田, 智史, 中村, 浩二, 橋本, 徹夫, 小高, 俊一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 気象庁気象研究所 1996
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ISSN0031-126X
1880-6643
DOI10.2467/mripapers.46.107

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Summary:フィリピン海プレートの二つのモデルについて、3次元的な形状表現を得るとともに、有限要素法による変形、応力分布の解析を行った。  先ず、プレートモデルの立体的形状を視覚的に捉えるために、ワイヤーフレームによる表現、アナグリフ方式 (赤青メガネ方式) による表現、陰影による表現、の3種類の表現方法を試み、それぞれの方法の特徴を比較するとともに、モデルによる形状の違いを検討した。次に、大陸プレート下に沈み込むフィリピン海プレートを模して、沈み込みの方向に圧縮されるようにモデルの一端に強制変位を与えて、その変形の様子を有限要素法により計算し、両モデルの変位分布、応力分布の特徴について比較するとともに、地震活動との対応について検討した。  形状に関して、一方のモデルは南東から北西にかけて中央部が谷状になった構造を有しているが、他方のモデルでは中央部が東西両端より逆に盛り上がっており、北西端での潜り込みの角度が急である。二つのモデルの形状はかなり異なったものであるが、変形、応力分布には類似した特徴がみられる。その一つは、相模湾付近 (1923年関東地震の震源地付近) が顕著に上方に変位する点である。有限要素法による解析結果から判断すると、プレートの形状とそれに働く北西—南東方向の圧縮力からは、フィリピン海プレートは相模湾付近では必然的に隆起し上盤の大陸プレートに強く押しつけられる状態にあると考えられる。一方、測地測量データの解析からは、この辺りがプレート間カップリングの強いところであること、すなわち、次の大地震のための応力蓄積が進行しつつある場所であることが推定されている。上述の解析結果はこの推定と整合的である。
ISSN:0031-126X
1880-6643
DOI:10.2467/mripapers.46.107