島根県における輸入赤痢アメーバ症の2例

島根県農村部における輸入赤痢アメーバ症の2例について報告した。2例とも中華人民共和国のツアー中に, 北京にてスイカを食べており, これが感染経路と考えられた。 症例1は, 帰路上海にて発症し, 患者は, 悪心・嘔吐・下痢・意識消失を来し, 上海病院に緊急入院し, 脱水症状に対する治療を受けた。帰国後, 糞便検査にてEntamoeba histolyticaの栄養型が認められ, 赤痢アメーバ症と診断された。メトロニダゾールにて治療を行なったが, 高令で激症アメーバ性大腸炎を呈した本例においては, 効果があまりなく, チニダゾールの方が効果を示した。 症例2では, 自覚症状が認められなかったが,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 36; no. 4; pp. 937 - 941
Main Authors 山根, 洋右, 尾崎, 米厚, 中川, 昭生, 阿部, 顕治, 福島, 哲仁, 岡本, 傳男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 1987
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.36.937

Cover

More Information
Summary:島根県農村部における輸入赤痢アメーバ症の2例について報告した。2例とも中華人民共和国のツアー中に, 北京にてスイカを食べており, これが感染経路と考えられた。 症例1は, 帰路上海にて発症し, 患者は, 悪心・嘔吐・下痢・意識消失を来し, 上海病院に緊急入院し, 脱水症状に対する治療を受けた。帰国後, 糞便検査にてEntamoeba histolyticaの栄養型が認められ, 赤痢アメーバ症と診断された。メトロニダゾールにて治療を行なったが, 高令で激症アメーバ性大腸炎を呈した本例においては, 効果があまりなく, チニダゾールの方が効果を示した。 症例2では, 自覚症状が認められなかったが, 糞便検査にて, Entamoeba histolyticaの嚢子型が認められ, キャリアと診断され治療を受けた。 近年は, 都市部のみならず農村部においても海外渡航者が増えており, 旅行者における輸入赤痢アメーバ症の多発, およびその集団発生に, 今後注意を払う必要があるものと考える。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.36.937