重症筋無力症の診断・治療の最前線

第3の病原性自己抗体として,LDL受容体関連蛋白質4(low-density lipoprotein receptor-related protein 4:Lrp4)に対する抗体が報告されたが,その病原性については,現在もなお議論されている.全身型MG(myasthenia gravis)患者の10~15%には病原性自己抗体が検出されず,MGと診断するには,単線維筋電図(single fiber electromyogram:SFEMG)等の臨床検査で神経筋接合部障害を明らかにする必要がある.成人期発症MGは,病原性自己抗体だけではなく,症状分布,発症年齢ならびに胸腺腫の有無によって新たな病型...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 108; no. 11; pp. 2356 - 2360
Main Author 今井, 富裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 10.11.2019
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.108.2356

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Summary:第3の病原性自己抗体として,LDL受容体関連蛋白質4(low-density lipoprotein receptor-related protein 4:Lrp4)に対する抗体が報告されたが,その病原性については,現在もなお議論されている.全身型MG(myasthenia gravis)患者の10~15%には病原性自己抗体が検出されず,MGと診断するには,単線維筋電図(single fiber electromyogram:SFEMG)等の臨床検査で神経筋接合部障害を明らかにする必要がある.成人期発症MGは,病原性自己抗体だけではなく,症状分布,発症年齢ならびに胸腺腫の有無によって新たな病型分類が行われ,外来診察だけでは把握が難しい生活の困難さは,MGに特異的なQOL(quality of life)評価スケールで評価されている.全身型MGでは,患者のQOLを維持するための現実的な治療目標の設定が重要であり,その目標を達成するために,早期速効性治療戦略(early fast-acting treatment strategy:EFT)が推奨されている.胸腺摘除術の有効性がランダム化比較試験で証明され,免疫治療のオプションが増えてきた現在でも,治療目標に届かない難治例が一定の割合で存在し,モノクローナル抗体製剤等の新たな治療薬の開発が進められている.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.108.2356