厚生連勤務医師の職場環境と医療情勢に関する意識調査 第2編: 医学・医療情勢, 大学医局, 研修医制度, 勤務医の将来について

愛知県厚生連9病院の勤務医を対象に, 職場環境と医療情勢に対する意識調査を行い, 469名96%の回答を得た。調査内容はI. 回答者の基本情報, II. JA, 農村医学, 農業について, III. 診療活動, 病院運営, 処遇について, IV. JAと厚生連の高齢者福祉・介護事業について, V.医学と医療制度の動向について, VI. 医療情報システムについて, VII大学医局と卒後臨床研修制度について, VIII. 医師としての将来について, であり, それらの回答結果について厚生連の歴史と現状, 日本の農業と医学医療の動向を参考に分析し, 考察を加えた。なおI~IVを第1編として下記の要旨...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 51; no. 5; pp. 770 - 785
Main Authors 杉本, 東, 大橋, 孝司, 池戸, 昌秋, 片桐, 健二, 金山, 均, 横井, 武, 池内, 政弘, 脇田, 郷, 羽賀, 達也, 田原, 裕文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2003
日本農村医学会
Subjects
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.51.770

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Summary:愛知県厚生連9病院の勤務医を対象に, 職場環境と医療情勢に対する意識調査を行い, 469名96%の回答を得た。調査内容はI. 回答者の基本情報, II. JA, 農村医学, 農業について, III. 診療活動, 病院運営, 処遇について, IV. JAと厚生連の高齢者福祉・介護事業について, V.医学と医療制度の動向について, VI. 医療情報システムについて, VII大学医局と卒後臨床研修制度について, VIII. 医師としての将来について, であり, それらの回答結果について厚生連の歴史と現状, 日本の農業と医学医療の動向を参考に分析し, 考察を加えた。なおI~IVを第1編として下記の要旨で前号に報告したが, V~VIIIを第2編として本号で報告する。 愛知県厚生連の前身となる医療機関は昭和10年代を中心に各地で展開された医療利用組合の結果として設立されており, 三河, 尾張平野における農業で基盤を固めた農協組織により支援を受けて全国有数の規模に発展してきた。しかし, 現在は愛知県においても農業は主要産業の座を明わたし, 世界的規模で進行する農産物の自由化の中で農業とJA組織の再構築を模索しており, 厚生連事業のあり方も再検討される可能性がある。また, 愛知県厚生連では病院の新築移転など大型投資が続いているが, 職員の高齢化に加えて厳しい医療費抑制政策の影響を受け医療収入の伸び悩みにより医師を含めた賃金制度の見直しを検討よぎなくされるなど, 今後の事業環境は厳しさを増す一方である, 基本情報によれば厚生連での勤続年数は5年未満の医師が多く, 母体JAを意識する動機は医療事業に関するものではなく, 農協口座への給与振込みである。わが国の食料自給率の低下に危機を感ずる者は39%,「農業の多面的機能」という言葉を知っているものは19%弱であり, 80%以上の医師が農村医学会に無関心であるなど, 農協や農業に関する意識は高くない。しかし, 厚生連病院での診療に関しては, 施設やスタッフの協力体制は良好であり, 業務遂行がしやすいと考えており, 50%以上の医師が自分の病気治療が必要となった時, 勤務する病院に委ねるとしている。賃金や厚生福祉などの処遇も総体的に良い評価であるが, 新しく導入される人事賃金制度には若干の懸念を有している。県下の厚生連病院同士での診療上の連携は少なく, 医師間の連帯感も薄い。JAの展開する介護保険事業については, 高齢者医療と密接な関係がある事業として協力の必要性を認めている。 第2編においてもアンケートの質問内容と結果は図に示し, 回答者の基本情報との関係における詳細な分析は必要な部分を本文の中に引用した。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.51.770