rhG-CSF投与により芽球の著明な増加をきたしたMDSの1例

今回, 筆者らは遺伝子組替え穎粒球コロニー刺激因子 (以下rhG-CSF) が著明な芽球の増殖に関与したと思われる症例を経験したので報告する.症例は14歳女児.3歳時再生不良性貧血の診断をうけ, 13歳時には, 芽球の増加 (末梢血1~2%, 骨髄13.4%) を指摘されている.入院10カ月前よりrhG-CSFの投与をうけ, 入院6週前より末梢血の芽球の増加に気づかれ, 5月12日当科に紹介された.血液検査では白血球4,900/μl (好中球1%, リンパ球30%, 芽球69%) であった.骨髄検査では90%の芽球を認め, FAB分類のM1と診断した.rhG-CSFの中止により芽球, LDH共...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 8; no. 5; pp. 447 - 451
Main Authors 赤塚, 順一, 石戸谷, 尚子, 伊従, 秀章, 広津, 卓夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 1994
Online AccessGet full text
ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.8.447

Cover

More Information
Summary:今回, 筆者らは遺伝子組替え穎粒球コロニー刺激因子 (以下rhG-CSF) が著明な芽球の増殖に関与したと思われる症例を経験したので報告する.症例は14歳女児.3歳時再生不良性貧血の診断をうけ, 13歳時には, 芽球の増加 (末梢血1~2%, 骨髄13.4%) を指摘されている.入院10カ月前よりrhG-CSFの投与をうけ, 入院6週前より末梢血の芽球の増加に気づかれ, 5月12日当科に紹介された.血液検査では白血球4,900/μl (好中球1%, リンパ球30%, 芽球69%) であった.骨髄検査では90%の芽球を認め, FAB分類のM1と診断した.rhG-CSFの中止により芽球, LDH共に自然に減少し, rhG-CSFにより芽球が異常に増殖したものと考えられた.rhG-CSFの, 致命的感染症を起こしたMDS, AMLへの投与は総じて利益をもたらすことが多いと考えられるが, 同時に末梢血での芽球の動きに十分な注意が必要と思われた.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.8.447