胃癌周術期に血球貧食症候群を呈しステロイドが著効した1例

症例は66歳の男性で,第13病日に胃切除後の縫合不全にて腹腔内膿瘍を形成した.CTガイド下ドレナージにて膿瘍は改善し経口摂取を開始したが,第35病日に再び発熱を認めた.敗血症(血液培養陽性:Stenotrophononas maltophilia)の診断で抗生剤治療を開始したが解熱を認めなかった.循環・呼吸状態が急速に悪化したため人工呼吸器管理を開始した.末梢血にて血球減少(Hb 7.8 g/dl,Plt 19×103 /μl),CTにて肝脾腫大を認めた.骨髄にて血球貧食像を認めたため,血球貧食症候群と診断し同日よりステロイドパルス治療(ソルメドロール1 g/日,全3日間)を開始した.翌日より...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 43; no. 4; pp. 359 - 364
Main Authors 大野, 哲郎, 桑野, 博行, 浅尾, 高行, 持木, 彫人, 藍原, 龍介, 小磯, 博美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.04.2010
Online AccessGet full text
ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.43.359

Cover

More Information
Summary:症例は66歳の男性で,第13病日に胃切除後の縫合不全にて腹腔内膿瘍を形成した.CTガイド下ドレナージにて膿瘍は改善し経口摂取を開始したが,第35病日に再び発熱を認めた.敗血症(血液培養陽性:Stenotrophononas maltophilia)の診断で抗生剤治療を開始したが解熱を認めなかった.循環・呼吸状態が急速に悪化したため人工呼吸器管理を開始した.末梢血にて血球減少(Hb 7.8 g/dl,Plt 19×103 /μl),CTにて肝脾腫大を認めた.骨髄にて血球貧食像を認めたため,血球貧食症候群と診断し同日よりステロイドパルス治療(ソルメドロール1 g/日,全3日間)を開始した.翌日より呼吸状態の改善と解熱を認め,血球減少も著明に改善した.ステロイドパルス治療から1週間後には経口摂取を開始し第72病日には退院となった.退院から8か月,血球貧食症候群の再発兆候は認めない.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.43.359