保存温度の違いが春どりされたアスパラガス 3 品種における収穫後の品質変化に及ぼす影響

アスパラガスの収穫後の外観,重量およびアスコルビン酸含量の変化に対する品種および保存温度の影響を露地圃場にて春どりした‘UC157’,‘Gijnlim’および‘Purple Passion’を用いて調査した.また,青果物の品質低下と密接に関連する呼吸速度の差異についてもあわせて調査した.収穫直後において,‘Gijnlim’は他の 2 品種に比べて若茎頭部が緩く,アスコルビン酸含量が最も高かった.5,10 および 15℃ で 4 日間保存した後の品質を調査した結果,若茎頭部の開きの進行程度に対する保存温度の影響は小さかったものの,いずれの温度においても‘Gijnlim’でやや大きく,‘Purpl...

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Published inJournal of the Japanese Society for Horticultural Science Vol. 80; no. 1; pp. 76 - 81
Main Authors 前田, 智雄, 石川, 豊, 濵渦, 康範, 久徳, 康史, 元木, 悟, 椎名, 武夫, 酒井, 浩晃, 松島, 憲一, 北澤, 裕明
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 一般社団法人 園芸学会 2011
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ISSN1882-3351
1882-336X
DOI10.2503/jjshs1.80.76

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Summary:アスパラガスの収穫後の外観,重量およびアスコルビン酸含量の変化に対する品種および保存温度の影響を露地圃場にて春どりした‘UC157’,‘Gijnlim’および‘Purple Passion’を用いて調査した.また,青果物の品質低下と密接に関連する呼吸速度の差異についてもあわせて調査した.収穫直後において,‘Gijnlim’は他の 2 品種に比べて若茎頭部が緩く,アスコルビン酸含量が最も高かった.5,10 および 15℃ で 4 日間保存した後の品質を調査した結果,若茎頭部の開きの進行程度に対する保存温度の影響は小さかったものの,いずれの温度においても‘Gijnlim’でやや大きく,‘Purple Passion’で小さい傾向がみられた.一方,切り口の変色程度は,いずれの品種においても保存温度の上昇にともない大きくなったが,‘Gijnlim’のみが 10℃ 以上から急激に大きくなる傾向を示した.重量およびアスコルビン酸含量の減少は,いずれの温度においても‘Gijnlim’で他の 2 品種と比べて大きかった.また,収穫 2–8 時間後における呼吸速度(CO2 生成速度)についてみると‘Purple Passion’は,‘UC157’および‘Gijnlim’と比較し低い傾向にあった.以上より,アスパラガスの品質およびその収穫後の変化には品種間差異があることが明らかとなった.また,‘Gijnlim’は‘UC157’および‘Purple Passion’と比べて,品質劣化しやすい可能性が考えられた.そのため,春どりされる‘Gijnlim’の流通においては,温度管理や包装などを厳密にする必要があると思われた.
ISSN:1882-3351
1882-336X
DOI:10.2503/jjshs1.80.76