約20年間における地域の麻疹流行動向およびワクチン接種状況と今後の麻疹制圧対策

日本では数年毎に麻疹流行がみられ, 推定年間10~20万人が感染し, 50~100人が死亡している. 世界保健機構がポリオに続き麻疹根絶計画を, 日本小児科医会も2005年麻疹根絶を目標に啓発活動を開始した. 我々は20年間における倉敷市の麻疹流行動向とワクチン接種状況から問題点を検討し, 継続的にワクチン接種を高める方法を考えたので報告する. 岡山県の麻疹流行は, 以前は全国に比べ数倍以上高く, その頃麻疹ワクチンの年間接種数は出生数6000名に対し約2,000~3, 00名しかなかった. 予防接種法改正後接種数は4,000名以上となり, その後麻疹流行の程度は軽減した. しかし, 15歳以...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in感染症学雑誌 Vol. 76; no. 3; pp. 180 - 184
Main Authors 寺田, 喜平, 新妻, 隆広, 荻田, 聡子, 片岡, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 2002
Online AccessGet full text
ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.76.180

Cover

More Information
Summary:日本では数年毎に麻疹流行がみられ, 推定年間10~20万人が感染し, 50~100人が死亡している. 世界保健機構がポリオに続き麻疹根絶計画を, 日本小児科医会も2005年麻疹根絶を目標に啓発活動を開始した. 我々は20年間における倉敷市の麻疹流行動向とワクチン接種状況から問題点を検討し, 継続的にワクチン接種を高める方法を考えたので報告する. 岡山県の麻疹流行は, 以前は全国に比べ数倍以上高く, その頃麻疹ワクチンの年間接種数は出生数6000名に対し約2,000~3, 00名しかなかった. 予防接種法改正後接種数は4,000名以上となり, その後麻疹流行の程度は軽減した. しかし, 15歳以上の麻疹入院患者の割合は20年間に4%から24%に増加した. 一過性の啓発活動とならないようにシステム作りを考慮した. 以上の結果より啓発活動を行い, 1歳児のワクチン接種率を上げるだけでなく, 入園や入学前に感染歴やワクチン接種歴のない対象者を調査し, ワクチン接種を勧奨すること, その後保護者に接種証明書を求めることにした. また保護者の便宜のために乳児健診時希望者にワクチン接種することにし, 来年度から実施することになった. 明確な目標を決めて2年後に再評価を行い, さらに麻疹根絶戦略を改善する予定である.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.76.180