急性白血病の末期に肝など多臓器に結節性病変を多発したDisseminated Candidiasisの1剖検例
最近我々は急性白血病の末期に肝, 脾など多臓器に結節性病変を多発した特異な播種性カンジダ症の一剖検例を経験した. 症例は26歳, 女性, Acutelymphocyticleukemiaの診断にて多剤併用化学療法を数回試みたが寛解に入らず, 著しい穎粒球減少と共に39~40℃の高熱, 躯幹, 四肢に小豆大の紅色丘疹を生じた. 又, 筋肉痛は訴えなかったが, 生化学検査上, glutamic oxaloacetic transaminase (GOT) のみ3.185IU/Lと著しい高値を示した. 生前の血液, 咽頭, 尿培養ではカンジタ陰性であった. 剖検にて肝に大豆大の結節を無数に認めた....
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 58; no. 6; pp. 556 - 561 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
1984
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ISSN | 0387-5911 1884-569X |
DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.58.556 |
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Summary: | 最近我々は急性白血病の末期に肝, 脾など多臓器に結節性病変を多発した特異な播種性カンジダ症の一剖検例を経験した. 症例は26歳, 女性, Acutelymphocyticleukemiaの診断にて多剤併用化学療法を数回試みたが寛解に入らず, 著しい穎粒球減少と共に39~40℃の高熱, 躯幹, 四肢に小豆大の紅色丘疹を生じた. 又, 筋肉痛は訴えなかったが, 生化学検査上, glutamic oxaloacetic transaminase (GOT) のみ3.185IU/Lと著しい高値を示した. 生前の血液, 咽頭, 尿培養ではカンジタ陰性であった. 剖検にて肝に大豆大の結節を無数に認めた. 同様に病変は脾, 腎, 胃, 小腸, 肺にも認めた. 病理学上これらは凝固壊死より成り, 内部にカンジダ菌系を多数認めた. 肺病変にはアスペルギルス菌系も伴っていた. このような播種性カンジダ症の報告は本邦では少なく, 今後増加するものと思われる. 播種性カンジダ症の生前診断は極めて困難であるが, 本例の皮膚病変及びGOTの上昇はその一兆候であった可能性が高い. 今後急性白血病を含むCompromised stateの患者にこのような徴候を認めた時は, 皮膚, 筋等を積極的に生検し, 播種性カンジダ症の早期診断に努めるべきであろう. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.58.556 |