パクリタキセル少量投与で1年5カ月の生存を得た肝血管肉腫の1例

症例は47歳女性.2012年6月,人間ドックで肝機能異常を指摘され前医を受診した.肝内に多発する腫瘍性病変を指摘され,同7月に当科を紹介受診した.肝炎ウイルスマーカーは陰性で,各腫瘍マーカーは正常範囲内であった.画像検査では確定診断に至らず,肝腫瘍生検を行った.多発肝血管肉腫と確定診断され,同8月よりパクリタキセルによる化学療法を開始した.初回投与後,好中球減少が見られたため,投与量の減量を行い投与間隔をあけながら,G-CSF製剤を併用して治療を継続した.化学療法開始後はSDで経過していたが,腫瘍の増大に加えてT-Bilの増加,全身倦怠感の増強があり2013年8月に化学療法を休止した.その後は...

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Published in肝臓 Vol. 56; no. 8; pp. 428 - 434
Main Authors 平岡, 淳, 宮本, 安尚, 山子, 泰加, 畔元, 信明, 須賀, 義文, 中原, 弘雅, 菅野, 由佳理, 川村, 智恵, 二宮, 朋之, 相引, 利彦, 奥平, 知成, 道堯, 浩二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2015
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.56.428

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Summary:症例は47歳女性.2012年6月,人間ドックで肝機能異常を指摘され前医を受診した.肝内に多発する腫瘍性病変を指摘され,同7月に当科を紹介受診した.肝炎ウイルスマーカーは陰性で,各腫瘍マーカーは正常範囲内であった.画像検査では確定診断に至らず,肝腫瘍生検を行った.多発肝血管肉腫と確定診断され,同8月よりパクリタキセルによる化学療法を開始した.初回投与後,好中球減少が見られたため,投与量の減量を行い投与間隔をあけながら,G-CSF製剤を併用して治療を継続した.化学療法開始後はSDで経過していたが,腫瘍の増大に加えてT-Bilの増加,全身倦怠感の増強があり2013年8月に化学療法を休止した.その後は在宅緩和ケアへ移行し,同12月に永眠された.肝血管肉腫の平均予後は診断から6カ月とされ,有効な治療法はほとんどない.少量のパクリタキセルで治療を行い比較的長期のコントロールができた肝血管肉腫の一例を経験したので報告する.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.56.428