中国都市部における居住環境中のVOCs実態調査

本研究では,中国における揮発性有機化合物(VOCs)とカルボニル化合物の個人曝露量を把握し,また室内環境の個人曝露量への影響を明らかにすることを目的として,中国の3都市において計40軒の住宅(成都30軒,北京5軒,長沙5軒)を対象に,VOCsとカルボニル化合物の室内濃度,屋外濃度,個人曝露量を調査した。その結果,ベンゼン,トルエン,キシレン,ホルムアルデヒドの室内濃度屋外濃度のいずれも,既往の研究で報告されている他の先進国の都市より高かった。VOCs及びカルボニル化合物の個人曝露量と室内濃度の間には強い相関がみられた。ほとんどのVOCsとカルボニル化合物のI/O比(室内濃度/屋外濃度)は1以上...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in室内環境学会誌 Vol. 9; no. 3; pp. 61 - 73
Main Authors 倪, 悦勇, 吉永, 淳, 熊谷, 一清, 柳沢, 幸雄, 篠原, 直秀, 吉野, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 室内環境学会 2007
Online AccessGet full text
ISSN2186-4314
DOI10.11510/siej1998.9.3_61

Cover

More Information
Summary:本研究では,中国における揮発性有機化合物(VOCs)とカルボニル化合物の個人曝露量を把握し,また室内環境の個人曝露量への影響を明らかにすることを目的として,中国の3都市において計40軒の住宅(成都30軒,北京5軒,長沙5軒)を対象に,VOCsとカルボニル化合物の室内濃度,屋外濃度,個人曝露量を調査した。その結果,ベンゼン,トルエン,キシレン,ホルムアルデヒドの室内濃度屋外濃度のいずれも,既往の研究で報告されている他の先進国の都市より高かった。VOCs及びカルボニル化合物の個人曝露量と室内濃度の間には強い相関がみられた。ほとんどのVOCsとカルボニル化合物のI/O比(室内濃度/屋外濃度)は1以上であった。また,成都市のデータを用いて住宅及び生活にかかわる因子(内装のグレード,内装後の経過時間,床内装,壁内装,単位床面積あたり家具数家具の平均使用年数,窓開け換気時間,喫煙など)とVOCs室内濃度,個人曝露量の関連性を検討した。その結果,内装の経過時間,内装のグレード,内装の材質,家具の平均使用年数が,調査した中国住宅の室内環境中のVOCsとカルボニル化合物濃度に有意に影響していたことがわかった。また,個人曝露量を用いてベンゼンとホルムアルデヒドの吸入曝露による生涯発がんリスクを試算したところ,いずれも10-4オーダーの高いレベルであった,中国都市住宅において居住環境中ベンゼンとホルムアルデヒドの曝露による発ガンリスクの問題は早急に解決すべき課題である。
ISSN:2186-4314
DOI:10.11510/siej1998.9.3_61