進行大腸癌における術前血中sialyl LewisX値測定の有用性に関する検討

目的:進行大腸癌症例において,sialyl LewisX(SLX)を測定する意義について検討した.方法:1994-2002年の間に手術を行った進行大腸癌543例を対象として,術前血中SLX,CEA,CA19-9値を測定して陽性群と陰性群に分け,組織学的根治度(Cur),予後との関連を検討した.結果:SLX,CEA,CA19-9陽性群では,Cur Cの頻度が各々41.2%,19.8%,29.9%と陰性群に比較して有意に高かった(p<0.0001).Cur Cに関する多変量解析では3つの腫瘍マーカーは各々独立した予測因子であった.陽性因子数別Cur Cの頻度は0因子0.7%,1因子5.6%,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 3; pp. 521 - 526
Main Authors 識名, 敦, 内藤, 善久, 橋口, 陽二郎, 神藤, 英二, 望月, 英隆, 山本, 順司, 上野, 秀樹, 長谷, 和生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.73.521

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Summary:目的:進行大腸癌症例において,sialyl LewisX(SLX)を測定する意義について検討した.方法:1994-2002年の間に手術を行った進行大腸癌543例を対象として,術前血中SLX,CEA,CA19-9値を測定して陽性群と陰性群に分け,組織学的根治度(Cur),予後との関連を検討した.結果:SLX,CEA,CA19-9陽性群では,Cur Cの頻度が各々41.2%,19.8%,29.9%と陰性群に比較して有意に高かった(p<0.0001).Cur Cに関する多変量解析では3つの腫瘍マーカーは各々独立した予測因子であった.陽性因子数別Cur Cの頻度は0因子0.7%,1因子5.6%,2因子21%,3因子74.1%であり(p<0.0001),5年疾患特異的生存率は各々90.9%,71.1%,64.9%,17.4%(p<0.0001)であった.結論:腫瘍マーカー陽性因子数によって,Cur C,予後不良例の精度の高い術前分別が可能であり,術前治療の適応選択に有用と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.521