生後早期のマウス耳下腺に出現する粘液細胞の分泌顆粒の性状変化について

生後早期のマウス耳下腺の終末性集落や腺房には粘液細胞が認められる。耳下腺の発育に伴い粘液細胞に含まれる分泌顆粒の性状にどのような変化が生ずるか光顕および電顕観察によって調べた。生後0日齢には認められなかったが, 生後1日齢になると粘液細胞が観察され, 徐々に増加していった。粘液細胞の顆粒はPAS反応およびアルシアン青染色に陽性を示し, 電顕観察において電子密度の低い明るい顆粒, および明るい基質中に電子密度の高い芯をもつ二相性顆粒を含んでいた。芯は経日的に大きさを増し, プロナーゼ処理によって消化された。生後7日齢以降, 粘液細胞は減少し, 生後10日齢には全く認められなかった。生後1日齢に出...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 40; no. 6; pp. 622 - 631
Main Authors 相山, 誉夫, 小池, 清美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.12.1998
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ISSN0385-0137
DOI10.2330/joralbiosci1965.40.622

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Summary:生後早期のマウス耳下腺の終末性集落や腺房には粘液細胞が認められる。耳下腺の発育に伴い粘液細胞に含まれる分泌顆粒の性状にどのような変化が生ずるか光顕および電顕観察によって調べた。生後0日齢には認められなかったが, 生後1日齢になると粘液細胞が観察され, 徐々に増加していった。粘液細胞の顆粒はPAS反応およびアルシアン青染色に陽性を示し, 電顕観察において電子密度の低い明るい顆粒, および明るい基質中に電子密度の高い芯をもつ二相性顆粒を含んでいた。芯は経日的に大きさを増し, プロナーゼ処理によって消化された。生後7日齢以降, 粘液細胞は減少し, 生後10日齢には全く認められなかった。生後1日齢に出現するマウス耳下腺の粘液細胞は生後7日齢までの限られた期間観察されること, 蛋白質を含む電子密度の高い芯は徐々に大きさを増すことなどから, 粘液細胞の大部分の顆粒は漿液顆粒へ変化してゆくものと思われる。
ISSN:0385-0137
DOI:10.2330/joralbiosci1965.40.622