腹腔鏡下にIPOM-Plus法を施行した肋骨弓下腹壁瘢痕ヘルニアの1例

症例は85歳,女性.急性胆嚢炎に対する開腹手術より1年半後に,右肋骨弓下の膨隆を主訴に受診.腹部単純CTにて,前回の切開創直下に15.0×13.5cmの腹壁欠損を認めたため肋骨弓下腹壁瘢痕ヘルニアと診断され,腹腔鏡下修復術(IPOM-Plus)を行うこととなった.まず,腹腔鏡下にヘルニア門周囲の癒着を剥離したのち前方アプローチで腹壁欠損部を縫合閉鎖した.メッシュの固定は鏡視下にタッキングと筋膜貫通縫合によって行ったが,特に肋骨弓とヘルニア門との間の狭い領域への固定に注意を払い,肋骨弓より頭側には固定を行わなかった.肋骨弓下腹壁瘢痕ヘルニアは修復術が難しいと言われるが比較的まれで,これまで本邦で...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 7; pp. 1534 - 1538
Main Authors 藤田, 正一郎, 橋本, 和彦, 大西, 直, 藤江, 裕二郎, 野中, 亮児, 安達, 慧
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.1534

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Summary:症例は85歳,女性.急性胆嚢炎に対する開腹手術より1年半後に,右肋骨弓下の膨隆を主訴に受診.腹部単純CTにて,前回の切開創直下に15.0×13.5cmの腹壁欠損を認めたため肋骨弓下腹壁瘢痕ヘルニアと診断され,腹腔鏡下修復術(IPOM-Plus)を行うこととなった.まず,腹腔鏡下にヘルニア門周囲の癒着を剥離したのち前方アプローチで腹壁欠損部を縫合閉鎖した.メッシュの固定は鏡視下にタッキングと筋膜貫通縫合によって行ったが,特に肋骨弓とヘルニア門との間の狭い領域への固定に注意を払い,肋骨弓より頭側には固定を行わなかった.肋骨弓下腹壁瘢痕ヘルニアは修復術が難しいと言われるが比較的まれで,これまで本邦では修復術の報告がなかった.われわれが行ったIPOM-Plus法は,安全で適切であると考え報告した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.1534