社会的行動障害の精神医学的側面
社会的行動障害とは, 同種の生物の集団の中で生じる行動の障害のことである。社会的行動の行動のみが障害される場合, DSM-5 では「他の医学的疾患によるパーソナリティの変化」と定義される。しかしながら多くの場合は, 社会的行動障害の基盤として, 社会的認知の障害が想定され, その場合は神経認知障害群に分類されることになる。社会的認知の多くを占める要素として, 情動価をもった情報の処理が挙げられる。本稿では, 情動価をもった刺激に対する認知から反応までの処理過程を, 認知, 反応, および最終的な情動の表出過程に分け, それぞれの過程に対応する病態について解説を行った。このように整理することによ...
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Published in | 高次脳機能研究 (旧 失語症研究) Vol. 37; no. 3; pp. 281 - 287 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
30.09.2017
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Subjects | |
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ISSN | 1348-4818 1880-6554 |
DOI | 10.2496/hbfr.37.281 |
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Summary: | 社会的行動障害とは, 同種の生物の集団の中で生じる行動の障害のことである。社会的行動の行動のみが障害される場合, DSM-5 では「他の医学的疾患によるパーソナリティの変化」と定義される。しかしながら多くの場合は, 社会的行動障害の基盤として, 社会的認知の障害が想定され, その場合は神経認知障害群に分類されることになる。社会的認知の多くを占める要素として, 情動価をもった情報の処理が挙げられる。本稿では, 情動価をもった刺激に対する認知から反応までの処理過程を, 認知, 反応, および最終的な情動の表出過程に分け, それぞれの過程に対応する病態について解説を行った。このように整理することによって, 異なる機序によって生じる似た病態を正しく理解することが可能であり, 治療や対処に役立つと考えられる。 |
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ISSN: | 1348-4818 1880-6554 |
DOI: | 10.2496/hbfr.37.281 |