腎移植レシピエントにおける前立腺癌密封小線源永久挿入治療の検討

【目的】腎移植後の悪性腫瘍は増加傾向にあり、腎移植患者の主要死因である。腎移植レシピエントにおける前立腺癌の発症率は皮膚癌や腎癌、甲状腺癌と比較し有意に高くないものの、骨盤内臓器であることから治療法に留意が必要である。腎移植レシピエントにおける前立腺癌密封小線源永久挿入治療の安全性と有効性に関して検討した。【方法】2016年1月~2021年12月までに当院で限局性前立腺癌と診断され小線源療法を受けた男性患者57名のうち、腎移植既往のある2名について、患者背景や治療内容、有害事象、PSA推移を後方視的に解析した。【結果】前立腺癌診断時の年齢はそれぞれ61歳、71歳であり腎移植から前立腺癌診断まで...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s398_1
Main Authors 松尾, 朋博, 望月, 保志, 倉田, 博基, 大庭, 康司郎, 宮田, 康好, 光成, 健輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.57.Supplement_s398_1

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Summary:【目的】腎移植後の悪性腫瘍は増加傾向にあり、腎移植患者の主要死因である。腎移植レシピエントにおける前立腺癌の発症率は皮膚癌や腎癌、甲状腺癌と比較し有意に高くないものの、骨盤内臓器であることから治療法に留意が必要である。腎移植レシピエントにおける前立腺癌密封小線源永久挿入治療の安全性と有効性に関して検討した。【方法】2016年1月~2021年12月までに当院で限局性前立腺癌と診断され小線源療法を受けた男性患者57名のうち、腎移植既往のある2名について、患者背景や治療内容、有害事象、PSA推移を後方視的に解析した。【結果】前立腺癌診断時の年齢はそれぞれ61歳、71歳であり腎移植から前立腺癌診断までの期間は2年10ヶ月、25年10か月。それぞれ生体腎移植、献腎移植を施行された。小線源治療後の追跡期間は、4年7カ月および4年6カ月であった。2名ともにPSAは低値推移しており再発を認めていない。また小線源療法による周術期合併症や晩期合併症は発生せず、現在も移植腎機能は保たれている。【結論】腎移植レシピエントの限局性前立腺癌に対する小線源治療は低侵襲であり、腫瘍学的転帰および移植腎機能の維持からも重要な選択肢と考えられる。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s398_1