肝移植後の血管合併症に対するハイブリッド手術室での治療経験
【背景】肝移植は手術手技や免疫抑制剤の向上により良好な予後が得られているが,血管合併症は,肝グラフト不全を来し,致命的になり得る.その為,早急な治療が必要となる.当院では2014年5月にハイブリッド手術室(HOR)を導入し,当科と放射線科と合同で術後合併症に対して,積極的にIVR(interventional radiology)を施行している.【対象と方法】2014年5月から2022年5月までに肝移植術後を施行した成人症例のうち,術後血管合併症に対してHORでIVRを施行した症例を対象とした.IVR治療後の臨床経過について検討した.【結果】当科では,9例の肝移植後症例に対して,HORを利用し...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s387_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2022
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.57.Supplement_s387_1 |
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Summary: | 【背景】肝移植は手術手技や免疫抑制剤の向上により良好な予後が得られているが,血管合併症は,肝グラフト不全を来し,致命的になり得る.その為,早急な治療が必要となる.当院では2014年5月にハイブリッド手術室(HOR)を導入し,当科と放射線科と合同で術後合併症に対して,積極的にIVR(interventional radiology)を施行している.【対象と方法】2014年5月から2022年5月までに肝移植術後を施行した成人症例のうち,術後血管合併症に対してHORでIVRを施行した症例を対象とした.IVR治療後の臨床経過について検討した.【結果】当科では,9例の肝移植後症例に対して,HORを利用したIVRを施行し,生体肝移植後が7例,脳死肝移植後が1例,自己肝温存同所性部分肝移植が1例であった.門脈狭窄が5例,門脈血栓が2例,両合併が1例,肝静脈狭窄が1例であった.血管拡張術は全例,ステント留置は4例に行われた.アプローチ法は経回結腸静脈アプローチ(TIC)が3例で,経皮経肝的アプローチ(PTH)が4例,術中にTICからPTHへ変更が1例であった.全症例で病態は改善し,術後経過は良好であった.【結語】HORで全身麻酔下に手術を行うことで,肝移植後の血管合併症の治療の際に患者負担の軽減し,正確な画像評価により,手技の安全性の向上を図ることができるため,有用であると考えられた. |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.57.Supplement_s387_1 |