臓器移植のサステナビリティ向上のための国内外現状調査

本邦の臓器提供数は増加傾向にあり、本年は過去最多の提供数となると予想される。本邦において臓器移植医療を安定的に継続していくために、効率的な器械・材料の搬送システムの確立、臓器摘出手術における分業制の確立、移植症例増加時に向けた院内環境整備等を行うことで、移植医療のサステナビリティの向上につながると考えられる。既に本邦より数倍-数十倍という臓器移植を行っている諸外国の体制も参考にしながら、本邦の現状に合った体制を検討する事を目的とし、今回、厚生労働科学特別事業として、アンケートによる国内外移植施設を対象とした実態調査を行った。国内121施設(心臓11、肺11、肝臓31、膵臓22、腎臓66、小腸1...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s220_1
Main Authors 曽山, 明彦, 佐藤, 雅昭, 伊藤, 孝司, 江川, 裕人, 伊藤, 泰平, 蔵満, 薫, 原, 貴信, 岡田, 克典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s220_1

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Summary:本邦の臓器提供数は増加傾向にあり、本年は過去最多の提供数となると予想される。本邦において臓器移植医療を安定的に継続していくために、効率的な器械・材料の搬送システムの確立、臓器摘出手術における分業制の確立、移植症例増加時に向けた院内環境整備等を行うことで、移植医療のサステナビリティの向上につながると考えられる。既に本邦より数倍-数十倍という臓器移植を行っている諸外国の体制も参考にしながら、本邦の現状に合った体制を検討する事を目的とし、今回、厚生労働科学特別事業として、アンケートによる国内外移植施設を対象とした実態調査を行った。国内121施設(心臓11、肺11、肝臓31、膵臓22、腎臓66、小腸10)、国外29施設(肺6、肝23、膵13、腎14、小腸5)より回答を得た。本邦よりも臓器提供数、移植数が多い欧米、アジアの諸外国では臓器摘出手術における器材の準備、搬送などを含めた分業制が確立されていた。また移植直後から内科医が関わり、退院後の外来診療は内科医が主体となり、免疫抑制調整の他、感染症や生活習慣病に関するフォローが行なわれていた。同一施設内で多臓器の移植を同時に実施するための体制も整備されていた。本邦での臓器提供数増加に際して、クオリティが保たれ安定した移植医療を提供できるように諸外国の現状を参考にし、移植医療のサステナビリティを向上させるための体制を整備することが重要である。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s220_1