当学院理学療法および作業療法学科学生における喫煙に関する意識調査

【はじめに】  近年、世界および国内において喫煙対策が強化されてきている。喫煙は学生時代に習慣化することが多く、看護学校における調査では学年が上がるに連れて喫煙率が上昇したとの報告もある。理学療法士および作業療法士の養成校においても20歳前後の学生が多く、喫煙対策は必要と考える。そこで今回は当学院での喫煙対策の資料として、当学院学生を対象に喫煙に関する意識調査を実施し考察を加えたので報告する。 【対象と方法】  対象は平成16年度当学院第2学年の理学療法および作業療法学科の学生78名、平均年齢23.0±4.9歳である。アンケート調査は2005年2月に自記式で実施した。アンケート調査の項目は、1...

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Published in九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 Vol. 2005; p. 80
Main Authors 宮崎, 至恵, 森田, 正治, 村上, 茂雄, 甲斐, 悟, 坂口, 重樹, 山口, 寿, 清水, 和代, 中原, 雅美, 高橋, 精一郎, 松崎, 秀隆, 渡利, 一生, 吉本, 龍司, 森下, 志子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州理学療法士・作業療法士合同学会 2005
Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu
Subjects
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ISSN0915-2032
2423-8899
DOI10.11496/kyushuptot.2005.0.80.0

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Summary:【はじめに】  近年、世界および国内において喫煙対策が強化されてきている。喫煙は学生時代に習慣化することが多く、看護学校における調査では学年が上がるに連れて喫煙率が上昇したとの報告もある。理学療法士および作業療法士の養成校においても20歳前後の学生が多く、喫煙対策は必要と考える。そこで今回は当学院での喫煙対策の資料として、当学院学生を対象に喫煙に関する意識調査を実施し考察を加えたので報告する。 【対象と方法】  対象は平成16年度当学院第2学年の理学療法および作業療法学科の学生78名、平均年齢23.0±4.9歳である。アンケート調査は2005年2月に自記式で実施した。アンケート調査の項目は、1)タバコの煙が喫煙者本人の身体へ及ぼす影響をどう思うか?(以下、項目1)、2)タバコの煙が周囲の人の身体へ及ぼす影響をどう思うか?(以下、項目2)、3)タバコのにおいが周囲の人にどのように感じられると思うか?(以下、項目3)、4)「医療従事者を目指す者」という点で喫煙をどう思うか?(以下、項目4)とし、選択肢を「非常に悪い」「悪い」「影響ない」「良い」「非常に良い」とした。検討にあたり、現在喫煙している者(以下、喫煙者)と喫煙していない者(以下、非喫煙者)に分け、独立性の検定を行った。 【結果】  項目1、項目2、項目3では、喫煙、非喫煙者ともに「非常に悪い」または「悪い」と回答したものが多かった。ただし、「非常に悪い」と回答した者の割合は、喫煙者に比べて非喫煙者の方が多かった。項目4では「影響ない」と考えている者が非喫煙者(48.3%)よりも、喫煙者(75.0%)の方に多かった。また、「影響ない」と『悪い』(「非常に悪い」「悪い」)の独立性の検定では関連性を認めた(p<0.05)。 【考察】  今回の結果から喫煙者、非喫煙者に関わらず、喫煙が健康に悪影響をもたらすことは認識していると考えられた。しかし、「非常に悪い」と「悪い」の割合からみると、喫煙者は非喫煙者よりも認識が甘い、または悪いと認めたくないという心理が働いているのではないかと推察された。またタバコのにおいについても他者を不快にすることは、喫煙者、非喫煙者共通に認識していることから、禁煙及び喫煙マナーを守ることを促す際の意味づけとしやすいものと考えられた。喫煙している医師の方が患者教育に消極的な傾向にあるとの報告もあり、項目4の結果からも同様のことが予測された。  現在当学院では喫煙対策として、館内禁煙としている。今回の結果を参考に禁煙教室など検討実施していきたいと考えている。また今回は対象者が第2学年のみに限られていたため、今後は当学院学生への全数調査及び縦断調査を実施したいと考えている。
ISSN:0915-2032
2423-8899
DOI:10.11496/kyushuptot.2005.0.80.0