当院における神経難病患者の動向 過去5年間の入退院時のADLを中心として

本院入院の過去5年間の神経難病患者(148例)の実態を示す. 神経難病患者の在院患者数は毎年増加し現在54例である. 各年の新入院患者数は平均25例, 退院者は19例であつた. 本症の総退院患者94例の在院期間は平均13ヵ月であり, 現入院患者では平均38ヵ月にも及んでいる. 死亡例は5年間で26例, うち剖検例は9例(35%)であつた. 疾患別では, パーキンソン病(PD)が最も多く44例(30%), 次いで脊髄小脳変性症(SCD)が28例(19%), 筋萎縮性側索硬化症(ALS)が19例(13%), ALS以外の運動ニユーロン病(MND)が21例(14%)などであつた. これら患者の入院時...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療 Vol. 43; no. 11; pp. 1163 - 1166
Main Authors 上田, 由利子, 渡辺, 八重子, 山本, 時子, 乾, 俊夫, 前田, 幸子, 木村, 千代美, 足立, 克仁, 登, 頴子, 佐藤, 民江, 井上, 智子, 米田, 賢治, 高井, 明美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1989
国立医療学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.43.1163

Cover

More Information
Summary:本院入院の過去5年間の神経難病患者(148例)の実態を示す. 神経難病患者の在院患者数は毎年増加し現在54例である. 各年の新入院患者数は平均25例, 退院者は19例であつた. 本症の総退院患者94例の在院期間は平均13ヵ月であり, 現入院患者では平均38ヵ月にも及んでいる. 死亡例は5年間で26例, うち剖検例は9例(35%)であつた. 疾患別では, パーキンソン病(PD)が最も多く44例(30%), 次いで脊髄小脳変性症(SCD)が28例(19%), 筋萎縮性側索硬化症(ALS)が19例(13%), ALS以外の運動ニユーロン病(MND)が21例(14%)などであつた. これら患者の入院時の日常生活動作(ADL)は, ベツト上での生活を強いられている患者が97例(65%)と著しく障害されていた. さらに上記4疾患について退院時と比較してみると, 改善例はPDにのみ33例中13例にみられ, 悪化例はALSで15例中13例(うち死亡例12例)であつた. 不変例はSCDとMNDで多く, それぞれ12例中9例, 14例中11例であつた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.43.1163