インゲンマメ(Phaseolus vulgaris L.)の成長に対する支柱の効果およびつる性とつるなし性品種の成長比較

一年生つる植物の物質生産過程,物質分配様式に支柱の有無が及ぼす影響を検討した。つるあり種およびつる種のインゲンマメを栽培し,つるあり種には地上高1.5mの支柱を立てた有支柱区と支柱を立てない無支柱区を設け,成長解析を行った。播種後70日目の個体乾重は,つるあり有支柱区は平均で60g,つるあり無支柱区は平均で43gであり,有支柱区が有意に大きかった。有支柱区では生産構造が鉛直方向に発達し,光を効率的に利用できるので成長量が大きくなったと考えられた。逆に無支柱区では,葉が地面の近くに密生するため葉層下部の光環境が悪くなり,成長量が低下したと考えられた。つるあり種において,相対成長速度(RGR)およ...

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Published in森林応用研究 Vol. 7; pp. 87 - 90
Main Author 酒井, 敦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 応用森林学会 1998
The Society of Applied Forest Science
Subjects
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ISSN1342-9493
2189-8294
DOI10.20660/applfor.7.0_87

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Summary:一年生つる植物の物質生産過程,物質分配様式に支柱の有無が及ぼす影響を検討した。つるあり種およびつる種のインゲンマメを栽培し,つるあり種には地上高1.5mの支柱を立てた有支柱区と支柱を立てない無支柱区を設け,成長解析を行った。播種後70日目の個体乾重は,つるあり有支柱区は平均で60g,つるあり無支柱区は平均で43gであり,有支柱区が有意に大きかった。有支柱区では生産構造が鉛直方向に発達し,光を効率的に利用できるので成長量が大きくなったと考えられた。逆に無支柱区では,葉が地面の近くに密生するため葉層下部の光環境が悪くなり,成長量が低下したと考えられた。つるあり種において,相対成長速度(RGR)および純同化率(NAR)の経時変動パターンは支柱の有無に影響を受けなかった。つる種はつるあり種に比べ成長初期におけるRGRが大きい反面NARは大きくなく,品種による物質生産過程の相違が示唆された。また,つる種は地際直径が大きく地下部への分配率が高いことから,自重を支える生活に適応していると考えられた。
ISSN:1342-9493
2189-8294
DOI:10.20660/applfor.7.0_87