心停止ドナーからの腎摘出について、若手移植医に伝えたいこと
脳死下での臓器提供は増加しているが、心停止下での腎提供は年々減少傾向にある。このため、当県でも出動回数は減少しており、若手の移植医が心停止下での腎摘出を経験する機会が少ない。しかし献腎移植施設であれば、情報は突然やってくるため、常に準備をしておく必要がある。 ポイントは、①出来るだけ脳死下での摘出と手技を統一すること、②最少人数(2名)でも対応できるようにすること、③道具を少なくすること。④できるだけ数多く経験することである。 一番の問題点は、心停止から灌流までのWITを出来るだけ短くしたいが、それが分からないことである。ベッドサイドでダブルバルーンカテーテルを挿入する方法もあるが、挿入後に低...
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| Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s300_3 |
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| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本移植学会
2022
The Japan Society for Transplantation |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
| DOI | 10.11386/jst.57.Supplement_s300_3 |
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| Summary: | 脳死下での臓器提供は増加しているが、心停止下での腎提供は年々減少傾向にある。このため、当県でも出動回数は減少しており、若手の移植医が心停止下での腎摘出を経験する機会が少ない。しかし献腎移植施設であれば、情報は突然やってくるため、常に準備をしておく必要がある。 ポイントは、①出来るだけ脳死下での摘出と手技を統一すること、②最少人数(2名)でも対応できるようにすること、③道具を少なくすること。④できるだけ数多く経験することである。 一番の問題点は、心停止から灌流までのWITを出来るだけ短くしたいが、それが分からないことである。ベッドサイドでダブルバルーンカテーテルを挿入する方法もあるが、挿入後に低血圧が遷延し、右下肢壊死から敗血症になったことを経験している。また灌流開始時に血栓で閉塞しており、急いで手術室に搬送したこともある。このため、必ずしもカテーテル挿入がベストとは言い難い。また、胸腔内脱血が不十分であったり、頭側の大動脈クランプがかかっていなかったことも経験した。 このように心停止下でも腎提供の現場では頻度が少ないにも関わらず、対応すべき要点が多いが、迅速な判断を求められるような不確定要素も多い。これまで経験してきたピットフォールを含めて紹介することによって、若手腎移植医の経験の一助となれば幸いである。 |
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| ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
| DOI: | 10.11386/jst.57.Supplement_s300_3 |