当院での腎移植後の透析再導入者の悪性腫瘍について

我が国の腎臓移植は、生体腎移植が年間88.7%にのぼることもあり良好で、2000年以降免疫抑制剤の開発が進み飛躍的に向上してきたが、透析再導入となる方もみえる。当院でも腎移植後の維持透析への再導入に関わることが増えてきた。腎移植後透析再導入後の悪性腫瘍について報告する。【症例1】70歳代女性。原疾患:ネフローゼ症候群。腎不全歴約34年。44歳時、透析5年目で献腎移植を受け26年目に透析再導入し、約1年で腎移植後24年目に左側頭部基底細胞がんを切除した。更に3年10ヶ月で腎移植後27年目に左自己腎癌摘出を受けた。【症例2】40歳代男性。原疾患:IgA腎症。17歳時生体腎移植を受け腎移植後約26年...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 55; no. Supplement; p. 359_1
Main Authors 大塚, 聡樹, 堀見, 史奈子, 折戸, 悦郎, 幅, 俊人, 杉山, 良太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.55.Supplement_359_1

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Summary:我が国の腎臓移植は、生体腎移植が年間88.7%にのぼることもあり良好で、2000年以降免疫抑制剤の開発が進み飛躍的に向上してきたが、透析再導入となる方もみえる。当院でも腎移植後の維持透析への再導入に関わることが増えてきた。腎移植後透析再導入後の悪性腫瘍について報告する。【症例1】70歳代女性。原疾患:ネフローゼ症候群。腎不全歴約34年。44歳時、透析5年目で献腎移植を受け26年目に透析再導入し、約1年で腎移植後24年目に左側頭部基底細胞がんを切除した。更に3年10ヶ月で腎移植後27年目に左自己腎癌摘出を受けた。【症例2】40歳代男性。原疾患:IgA腎症。17歳時生体腎移植を受け腎移植後約26年目に透析再導入、約2年で早期胃癌でESDを受けた。【症例3】50歳代男性。原疾患:FSGS。27歳時、生体腎移植を受け腎移植後約28年目に透析再導入し、約4年で横行結腸がんの腹腔鏡下切除を受けた。 【考察】諸家の報告では、腎移植後の悪性腫瘍は一般人より2~6倍発生率が高く、慢性腎臓病であることと免疫抑制剤に曝されてきたことを踏まえ、一般人との発がん頻度や年齢の差を考慮してあたるべきとの指摘が見受けられた。日本透析医学会の統計調査委員会から腎移植後透析再導入者の総死亡、糖尿病・心血管死亡、感染死亡についての予後の報告はあるが、悪性腫瘍に関しての報告はない。各施設の報告が望まれるところである。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.Supplement_359_1