外科診療報酬と医療材料・医療機器

外科診療報酬と,その医療材料・医療機器の価格との関係につき,現場の医師としての視点から現状の解説と問題点の提示を行う。厳しい国家財政事情,経済不況,医療費削減時代にあっても,ヒトの労働への対価とモノに費やされる費用の関係を明らかにすることによって,“日本の医師は鵜飼の鵜である”事をまず強調したい。つまり,我が国では医療費総枠の中でヒトの汗と涙に対する報酬がいかに低いかということを明らかにしている。また,どのようなエビデンスに基づき,われわれ外科医が技術料を要望しているのか,実際の診療報酬との関係はどうか,他職種の待遇との関係はどうかなどについてもわかりやすく説明した。現場を知らない経済学者や,...

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Published in医療と社会 Vol. 19; no. 1; pp. 27 - 41
Main Author 西田, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 医療科学研究所 2009
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ISSN0916-9202
1883-4477
DOI10.4091/iken.19.27

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Summary:外科診療報酬と,その医療材料・医療機器の価格との関係につき,現場の医師としての視点から現状の解説と問題点の提示を行う。厳しい国家財政事情,経済不況,医療費削減時代にあっても,ヒトの労働への対価とモノに費やされる費用の関係を明らかにすることによって,“日本の医師は鵜飼の鵜である”事をまず強調したい。つまり,我が国では医療費総枠の中でヒトの汗と涙に対する報酬がいかに低いかということを明らかにしている。また,どのようなエビデンスに基づき,われわれ外科医が技術料を要望しているのか,実際の診療報酬との関係はどうか,他職種の待遇との関係はどうかなどについてもわかりやすく説明した。現場を知らない経済学者や,知ってか知らずか適切な対応のできない動かない,変らないことを良しとする行政の問題点につき触れた。さらに,企業間競争の中で医療提供者がはぐらかされずに,報われるようにするための視点についても言及した。  医療は医療提供者と患者がともに形作るものである。この2つの主役が,医療材料,医療機器というモノとその流通業者の脇役になってはならない。医療材料,医療機器の価格と言うものは,限られた医療費の中で,まず,医療提供者,そして患者の利益が最大限となるように設定されるべきであろう。
ISSN:0916-9202
1883-4477
DOI:10.4091/iken.19.27