吸入液調製後の微生物汚染に対する保存剤の効果

呼吸器疾患の治療にネブライザーを用いての吸入療法がある. ネブライザーは呼吸器の深部まで到達できる微細なエアゾルを発生する1). それゆえ, 微生物汚染を受けた吸入液2-5)は呼吸器系感染症の原因になり得ることが知られている6). 吸入液の供給方法は各施設問で差異があると思われるが, 大別すると, 調製せずに瓶のまま交付する方法と薬剤師が医師からの処方箋により必要量を調製して交付する方法とがある. 後者はあらかじめ薬剤師により必要量が混合されているので, 患者は吸入のたびごとに混合の煩わしさを感ずることがない点が大きな利点であると考える. しかし, 当院でも患者に吸入液をなるべく簡便に使用して...

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Published in病院薬学 Vol. 20; no. 5; pp. 392 - 398
Main Authors 松本, 富夫, 杉山, 一覚, 小堀, 一乃, 浅見, 博子, 柿崎, 正子, 戸張, 敬子, 建部, 守, 森, 三樹雄, 内藤, 由美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本医療薬学会 1994
日本病院薬学会
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ISSN0389-9098
2185-9477
DOI10.5649/jjphcs1975.20.392

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Summary:呼吸器疾患の治療にネブライザーを用いての吸入療法がある. ネブライザーは呼吸器の深部まで到達できる微細なエアゾルを発生する1). それゆえ, 微生物汚染を受けた吸入液2-5)は呼吸器系感染症の原因になり得ることが知られている6). 吸入液の供給方法は各施設問で差異があると思われるが, 大別すると, 調製せずに瓶のまま交付する方法と薬剤師が医師からの処方箋により必要量を調製して交付する方法とがある. 後者はあらかじめ薬剤師により必要量が混合されているので, 患者は吸入のたびごとに混合の煩わしさを感ずることがない点が大きな利点であると考える. しかし, 当院でも患者に吸入液をなるべく簡便に使用してもらうために後者の方法を採用しているが, 吸入液調製後の微生物汚染に関する調査は今までに行われていないのが現状である. そこで, 著者らはまず, 入院病棟にて使用されていた吸入液の微生物汚染調査を行った. さらに, 外来患者を想定して薬剤師と医療に従事していない人をそれぞれ吸入液使用者に見立て, 吸入液の微生物汚染調査を行い, 吸入液調製後の微生物汚染について検討したので, ここに報告する.
ISSN:0389-9098
2185-9477
DOI:10.5649/jjphcs1975.20.392