肺移植後のサイトメガロウイルス感染
【背景】サイトメガロウイルス(CMV)は肺移植後の予後や慢性移植肺機能不全発症リスクなどに影響を与えうることが知られており、肺移植後の感染症の中でも重要な病原体の一つである。今回我々は当科で施行した肺移植症例におけるCMV感染の頻度や治療等を後方視的に検討した。【対象】2008年から2019年までに当科で施行された肺移植症例227例(生体肺移植92例、脳死肺移植135例)。なお当科のCMV対策に関しては、主として1年間、Valganciclovirによる予防治療を行っている。【結果】肺移植後にCMV感染を来したのは63例(27.8%)であり、CMV感染までの期間は中央値で208日(6-2566...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 56; no. Supplement; p. s337 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2021
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.56.Supplement_s337 |
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Summary: | 【背景】サイトメガロウイルス(CMV)は肺移植後の予後や慢性移植肺機能不全発症リスクなどに影響を与えうることが知られており、肺移植後の感染症の中でも重要な病原体の一つである。今回我々は当科で施行した肺移植症例におけるCMV感染の頻度や治療等を後方視的に検討した。【対象】2008年から2019年までに当科で施行された肺移植症例227例(生体肺移植92例、脳死肺移植135例)。なお当科のCMV対策に関しては、主として1年間、Valganciclovirによる予防治療を行っている。【結果】肺移植後にCMV感染を来したのは63例(27.8%)であり、CMV感染までの期間は中央値で208日(6-2566日)であった。63例のうち、CMV抗体がドナー陽性でレシピエント陰性のミスマッチ症例が17例(27.0%)を占めた。CMV抗原血症のみを来した症例は51例であった一方で、臓器症状を伴うCMV感染症は12例であり、その内訳はCMV肺炎が4例、CMV腸炎が4例、CMV胃潰瘍が3例、CMV網膜炎が1例、CMV肝炎が1例(重複あり)であった。治療は主にGanciclovir(GCV)の点滴による治療が行われたが、GCV耐性が疑われた5例では、Foscarnetに変更して治療が行われた。【結語】肺移植後のCMV感染は比較的頻度が高く、また予防治療終了後の移植後慢性期にも生じうるため、継続的なモニタリングと適切な治療介入が重要である。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.56.Supplement_s337 |