細胞内微小ガラス電極による腎盂尿管蠕動 pacemaker potential の記録

腎盂尿管蠕動が pacemaker の制御を受けており, それが腎杯腎盂境界部に存在することはほぼ確実であった. しかし, これまでの実験方法は細胞外接触電極によるものであったため, artifact を除外することが容易ではなく, 活動電位を記録することは困難であった. 今回モルモットの腎杯腎盂境界部より切り出した平滑筋切片に, 細胞内微小ガラス電極法を用いることにより, pacemaker に特徴的な周期的自発活動電位, いわゆる slow wave を記録することに成功した. これにより, 腎杯腎盂境界部に腎盂尿管蠕動の pacemaker が存在することを証明するとともに, 次の結果を...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 78; no. 10; pp. 1814 - 1820
Main Author 鈴木, 隆志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 1987
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ISSN0021-5287
1884-7110
DOI10.5980/jpnjurol1928.78.10_1814

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Summary:腎盂尿管蠕動が pacemaker の制御を受けており, それが腎杯腎盂境界部に存在することはほぼ確実であった. しかし, これまでの実験方法は細胞外接触電極によるものであったため, artifact を除外することが容易ではなく, 活動電位を記録することは困難であった. 今回モルモットの腎杯腎盂境界部より切り出した平滑筋切片に, 細胞内微小ガラス電極法を用いることにより, pacemaker に特徴的な周期的自発活動電位, いわゆる slow wave を記録することに成功した. これにより, 腎杯腎盂境界部に腎盂尿管蠕動の pacemaker が存在することを証明するとともに, 次の結果を得た. (1) slow wave の記録される部位は, 腎杯腎盂境界部でもより腎乳頭に近い部位で, ほとんど円蓋部に接する部位であった. (2) 心臓のSA結節で認められる2相性の波形と極めて類似した波形を示し, 自動性を有する興奮性細胞に共通の特徴を示していた. (3) 静止期電位は42.3±1.1mV, 自発脱分電極電位は12.1±0.7mV, 自発脱分極の周期は毎分約12回であった. (4) 電位変化速度は, 最初の比較的緩やかな脱分構相では22.9±2.1mV/sec, 次のやや急な脱分極相では50.9±9.5mV/sec, 過分極相では47.3±5.4mV/secであった.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.78.10_1814