常時微動測定による重要文化財古民家の耐震性判定に関する研究
現在の建築基準法が制定される以前に建てられた伝統的木造住宅の中には,質が高く十分な耐震性を有するものも少なくないと考えられるが,過去の地震被害からも推定されるように構造上あるいは経年変化のため,耐震的に問題のある建物が残されていることも事実である。本研究は,伝統的木造住宅を対象として,その振動特性を把握し,伝統的木造住宅の耐震性判定のための基礎資料を得ることを目的としている。実験対象民家として,保有状態が良く,竣工当時の構法を残していると考えられる重要文化財クラスの古民家6棟を選択し,常時徴動測定を行なった。得られた常時微動波形を解析し,固有振動数,振動モード,減衰定数を求めた。実験結果をまと...
Saved in:
| Published in | 住宅総合研究財団研究年報 Vol. 21; pp. 419 - 427 |
|---|---|
| Main Authors | , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般財団法人 住総研
1995
Housing Research Foundation "JUSOKEN" |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0916-1864 2423-9879 |
| DOI | 10.20803/jusokennen.21.0_419 |
Cover
| Summary: | 現在の建築基準法が制定される以前に建てられた伝統的木造住宅の中には,質が高く十分な耐震性を有するものも少なくないと考えられるが,過去の地震被害からも推定されるように構造上あるいは経年変化のため,耐震的に問題のある建物が残されていることも事実である。本研究は,伝統的木造住宅を対象として,その振動特性を把握し,伝統的木造住宅の耐震性判定のための基礎資料を得ることを目的としている。実験対象民家として,保有状態が良く,竣工当時の構法を残していると考えられる重要文化財クラスの古民家6棟を選択し,常時徴動測定を行なった。得られた常時微動波形を解析し,固有振動数,振動モード,減衰定数を求めた。実験結果をまとめると次の通りである。(1)地動と梁上で測定された微動波形の最大速度はそれぞれ2mkineと10mkineであり,梁上の最大変位は5μmである。(2)1次の固有振動数の平均は3Hz,2次の固有振動数の平均は3.4Hzである。(3)振動モードは1次が梁間方向の並進モードを示した。2次は桁行方向の並進振動であるが,一部の民家でねじれ振動がみられた。3次の振動モードはねじれモードであるが,スペクトルピークが明確でないことから4次の固有振動数が把握できない民家もあった。(4)減衰定数は1~2%であり,建物の種類や,方向による差はみられない。(5)固有振動数は民家の壁率と関係が深いが,振動特性に影響を及ぼす因子として,垂れ壁の効率,差鴨居と柱仕口の回転剛性についても考慮する必要がある。 |
|---|---|
| ISSN: | 0916-1864 2423-9879 |
| DOI: | 10.20803/jusokennen.21.0_419 |