HOT外来における理学療法士介入の効果と課題

【目的】 慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)は長期にわたる継続的な支援を必要し、全身性疾患という背景から、包括的呼吸リハビリテーションが重要視されている。当院では一部の在宅酸素療法(以下HOT)患者を対象に、全身状態の改善・維持、栄養や運動といった自己管理能力の向上を目的に月1回のHOT外来を実施している。医師、看護師、栄養士、理学療法士、在宅酸素プロバイダーが各方面から評価や指導に関わり、PTは呼吸機能および運動機能評価、自主練習指導を行っている。今回は1年以上通院した患者の呼吸機能、運動耐容能を調査し効果と課題を検証した。【方法】 平成19年8月よりHOT外来に1年以上通院したCOPD患者6...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 28; p. 108
Main Authors 浅香, 満, 高麗, 寿史, 松田, 幸枝, 後藤, 美加
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2009
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0916-9946
2187-123X
DOI10.14901/ptkanbloc.28.0.108.0

Cover

More Information
Summary:【目的】 慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)は長期にわたる継続的な支援を必要し、全身性疾患という背景から、包括的呼吸リハビリテーションが重要視されている。当院では一部の在宅酸素療法(以下HOT)患者を対象に、全身状態の改善・維持、栄養や運動といった自己管理能力の向上を目的に月1回のHOT外来を実施している。医師、看護師、栄養士、理学療法士、在宅酸素プロバイダーが各方面から評価や指導に関わり、PTは呼吸機能および運動機能評価、自主練習指導を行っている。今回は1年以上通院した患者の呼吸機能、運動耐容能を調査し効果と課題を検証した。【方法】 平成19年8月よりHOT外来に1年以上通院したCOPD患者6例を対象とした。基本情報(性別、年齢、BMI、GOLDの重症度分類)、肺機能検査、胸郭拡張差、6分間歩行距離(以下6MD)、自主練習実施状況を調査した。PT介入から1年間の肺機能検査、胸郭拡張差、6MDの推移を調査した。統計はt検定にて有意水準5%未満で処理した。また症例を通して成功例や課題を考察した。【結果】 男性6例、年齢81.7±2.9、BMI 18.0±2.9、GOLDの重症度分類[2]-2例、[3]-3例、[4]-1例、開始時の肺機能検査値は、%VC 72.0±27.4%、%FEV1.0 41.8±13.3%、FEV1.0% 46.1±22.8%、胸郭拡張差合計11.3±4.1cm、6MD 178.3±61.3mであった。開始1年後、肺機能は差を認めなかった。胸郭拡張差は、13.1±4.0cmと改善した。6MDは150.0±48.2mと差を認めなかった。また6MD変化率は1年後97.3±27.4%(50.6~120.0%)で、症例により増減にばらつきがあった。自主練習実施状況は、呼吸練習、運動療法とも定着しているのは2例、時々行うまたは一部を行うのが4例となった。【考察】 全体として胸郭拡張差は改善し、肺機能、6MDは有意差なく維持できている。6MD増加例では、呼吸法や自主練習の定着、酸素投与量変更が改善の要因として挙げられ、減少例では合併症や肺炎入院による影響、自主練習が十分に行えなくなることが原因と考えられた。肺機能、運動耐容能維持の他、NIPPVを使用しての運動療法、骨関節疾患への対応など症例に合わせた自主練習指導も行えるなどPTの関わる意義は大きい。一方で1年間を通した自主練習の継続には課題を残した。基盤としての全身状態の管理、合併症予防、疾病への理解を深める、チェック機能を充実させるなど多職種で関わるHOT外来の利点を活かした対策を検討していく必要がある。
Bibliography:108
ISSN:0916-9946
2187-123X
DOI:10.14901/ptkanbloc.28.0.108.0