尿路上皮癌における血清SCC抗原の意義

未治療尿路上皮腫瘍86例 (上部尿路癌23例, 膀胱癌63例) に対し, 血清扁平上皮癌関連抗原 (SCC抗原) を測定し, その有用性を検討した. なお, 陰茎癌5例, 陰嚢癌1例, 尿道癌2例についても, 対照として血清SCC抗原を測定した. 血清SCC抗原測定は, RIA二抗体法を用い, 測定感度は0.5ng/ml, 正常上限値は2.0ng/mlとした. 2.1ng/ml以上を陽性例とした. 2.1ng/ml以上を陽性例とし陽性率を求めると, 尿路上皮腫瘍27% (上部尿路癌31%, 膀胱癌25%), 陰茎癌20%, 陰嚢癌100%, 尿道癌100%であった. 尿路上皮腫瘍において, 深...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 78; no. 9; pp. 1491 - 1495
Main Authors 磯貝, 和俊, 竹内, 敏視, 坂, 義人, 河田, 幸道, 篠田, 育男, 高橋, 義人, 堀江, 正宣, 栗山, 学
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 1987
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ISSN0021-5287
1884-7110
DOI10.5980/jpnjurol1928.78.9_1491

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Summary:未治療尿路上皮腫瘍86例 (上部尿路癌23例, 膀胱癌63例) に対し, 血清扁平上皮癌関連抗原 (SCC抗原) を測定し, その有用性を検討した. なお, 陰茎癌5例, 陰嚢癌1例, 尿道癌2例についても, 対照として血清SCC抗原を測定した. 血清SCC抗原測定は, RIA二抗体法を用い, 測定感度は0.5ng/ml, 正常上限値は2.0ng/mlとした. 2.1ng/ml以上を陽性例とした. 2.1ng/ml以上を陽性例とし陽性率を求めると, 尿路上皮腫瘍27% (上部尿路癌31%, 膀胱癌25%), 陰茎癌20%, 陰嚢癌100%, 尿道癌100%であった. 尿路上皮腫瘍において, 深達度, 異型度により陽性率の差はみられなかった. また, SCC-Agの経時的推移が, 測定可能であった尿路上皮腫瘍4例については, SCC-Agの推移は, 臨床経過とよく合致した. われわれの検討の結果, 非特異的マーカーとしてであるが, 血清SCC抗原は, 尿路上皮腫瘍の診断, 病勢管理の経過観察に臨床的に有用であることが, 推定された.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.78.9_1491