片側性口唇裂の外鼻修正術後における外鼻形態の後戻り評価

口唇裂に対する外鼻修正術を行う際,問題となる点の1つとして,術後の後戻りが挙げられる.今回我々は,片側性口唇裂の外鼻修正手術術前術後の側貌頭部X線規格写真分析と鼻翼幅の計測を行い,術後の後戻りについて検討した. 対象は,2001年7月から2003年1月の問に当科にて田嶋の逆U字切開による鼻翼軟骨吊り上げ法を基本とした外鼻修正手術を施行した片側性口唇裂で十分な資料が採取可能であった23名とした.計測項目は,鼻唇角,鼻尖高(側貌頭部X線規格写真分析),鼻翼幅(実測長)とし,術後1か月時の資料を基準として術後の後戻りについて検討した. 術後12か月時における後戻り率はそれぞれ,鼻唇角:平均29.2%...

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Published in日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 29; no. 3; pp. 298 - 304
Main Authors 森山, 孝, 石井, 正俊, 森田, 圭一, 今泉, 史子, 小村, 健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口蓋裂学会 30.10.2004
Subjects
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ISSN0386-5185
2186-5701
DOI10.11224/cleftpalate1976.29.3_298

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Summary:口唇裂に対する外鼻修正術を行う際,問題となる点の1つとして,術後の後戻りが挙げられる.今回我々は,片側性口唇裂の外鼻修正手術術前術後の側貌頭部X線規格写真分析と鼻翼幅の計測を行い,術後の後戻りについて検討した. 対象は,2001年7月から2003年1月の問に当科にて田嶋の逆U字切開による鼻翼軟骨吊り上げ法を基本とした外鼻修正手術を施行した片側性口唇裂で十分な資料が採取可能であった23名とした.計測項目は,鼻唇角,鼻尖高(側貌頭部X線規格写真分析),鼻翼幅(実測長)とし,術後1か月時の資料を基準として術後の後戻りについて検討した. 術後12か月時における後戻り率はそれぞれ,鼻唇角:平均29.2%,鼻尖高=平均29.2%,鼻翼幅:平均25.4%であった.いずれの計測項目においても術後1か月から術後3か月までの変化が大きく,後戻り全体の約60%がこの期間に生じる.ついで,術後3か月から術後6か月にかけて後戻りの程度は弱まり,術後9か月頃にほぼ安定する傾向にあった. また,手術による外鼻形態変化の大きい群と小さい群の2群にわけて比較した結果,いずれの評価項目においても術後12か月時における後戻りの程度に有意差は認められなかった. 以上より,片側性口唇裂の外鼻修正手術後の後戻り率は,手術による外鼻形態の変化量の程度に関わらず術後12か月で約30%であることが示唆された.
ISSN:0386-5185
2186-5701
DOI:10.11224/cleftpalate1976.29.3_298