口唇・口蓋裂新生児の裂型別上顎顔面一体模型の分析
口唇・口蓋裂患者の新生児期の顎顔面形態を三次元的に明らかにするために上顎顔面一体模型の分析を行った。症例の内訳は片側性不完全唇裂13例,片側性不完全唇顎裂19例,片側性完全唇顎裂16例,片側性不完全唇顎口蓋裂4例,片側性完全唇顎口蓋裂50例,両側性完全唇顎口蓋裂13例,口蓋裂単独14例の計139例で,印象採得は生後1か月頃に行った。 片側性不完全唇裂は軽度の切歯点の患側偏位が有るのみで最も顎発育抑制がみられなかったことから本裂型を他裂型の対照とした。片側性不完全唇顎裂と片側性完全唇顎裂では,顎裂に伴う切歯点の健側への移動により切歯点はむしろ顔面正中にあった。しかし垂直的には切歯点と患側犬歯点が...
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| Published in | 日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 23; no. 4; pp. 226 - 242 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本口蓋裂学会
30.10.1998
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0386-5185 2186-5701 |
| DOI | 10.11224/cleftpalate1976.23.4_226 |
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| Summary: | 口唇・口蓋裂患者の新生児期の顎顔面形態を三次元的に明らかにするために上顎顔面一体模型の分析を行った。症例の内訳は片側性不完全唇裂13例,片側性不完全唇顎裂19例,片側性完全唇顎裂16例,片側性不完全唇顎口蓋裂4例,片側性完全唇顎口蓋裂50例,両側性完全唇顎口蓋裂13例,口蓋裂単独14例の計139例で,印象採得は生後1か月頃に行った。 片側性不完全唇裂は軽度の切歯点の患側偏位が有るのみで最も顎発育抑制がみられなかったことから本裂型を他裂型の対照とした。片側性不完全唇顎裂と片側性完全唇顎裂では,顎裂に伴う切歯点の健側への移動により切歯点はむしろ顔面正中にあった。しかし垂直的には切歯点と患側犬歯点が顎裂に向かって上方に上がっていた。片側性不完全唇顎口蓋裂では,上顎歯槽後方部の開大と健側歯槽部の外側転位の他は片側性不完全唇裂と比較して発育状態には差が少なかった。しかし片側性完全唇顎口蓋裂の患側セグメントは前下方への劣成長があり,口蓋裂単独例では上顎歯槽部全体の前方発育不良と上顎後方部の下方発育不良があった。同様に口蓋裂を有する両側性完全唇顎口蓋裂では左右セグメントの下方への劣成長は明らかではなかった。両側性完全唇顎口蓋裂以外の口蓋裂を有する裂型では出生直後より既に顎発育に問題があることから,口蓋裂単独例を含め,術前顎矯正の適用が考慮されるべきではないかと思われた。 |
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| ISSN: | 0386-5185 2186-5701 |
| DOI: | 10.11224/cleftpalate1976.23.4_226 |