拡張型心筋症に伴う心室頻拍に対し心外膜側アプローチによるカテーテル焼灼術が有効であった1例

拡張型心筋症に伴う心室頻拍(右脚ブロック+上方軸型; 120拍/分)に対してカテーテル焼灼術を施行した. 前医で施行されたCARTOシステムを用いた心内膜側からのsubstrate mappingでは, 左室後側壁に13.4cm2の低電位領域を認めた. 同部位を中心に焼灼を施行したが根治できず, その後も心室頻拍が頻発した. 薬剤によるコントロールもできなかったために本院に転院した. 12誘導心電図波形解析では頻拍は既報の心外膜側起源頻拍の心電図診断基準をすべて満たしており, 頻拍の起源が心外膜側にあることが示唆された. 心外膜側アプローチによるsubstrate mappingでは左室後側壁...

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Published in心臓 Vol. 42; no. SUPPL.2; pp. S2_135 - S2_140
Main Authors 井藤, 葉子, 成瀬, 代士久, 夛田, 浩, 五十嵐, 都, 山崎, 浩, 町野, 毅, 岩佐, 篤, 小澤, 真人, 関口, 幸夫, 青沼, 和隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2010
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.42.S2_135

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Summary:拡張型心筋症に伴う心室頻拍(右脚ブロック+上方軸型; 120拍/分)に対してカテーテル焼灼術を施行した. 前医で施行されたCARTOシステムを用いた心内膜側からのsubstrate mappingでは, 左室後側壁に13.4cm2の低電位領域を認めた. 同部位を中心に焼灼を施行したが根治できず, その後も心室頻拍が頻発した. 薬剤によるコントロールもできなかったために本院に転院した. 12誘導心電図波形解析では頻拍は既報の心外膜側起源頻拍の心電図診断基準をすべて満たしており, 頻拍の起源が心外膜側にあることが示唆された. 心外膜側アプローチによるsubstrate mappingでは左室後側壁の心尖部寄りに39.2cm2と心内膜側アプローチで記録されたものより明らかに大きな低電位領域を認めた. 低電位領域内を十字に横切るように線状焼灼をおこなったところ心室頻拍は誘発されなくなった. 術後, 心室頻拍の出現なく入院第22病日に軽快退院し, 以後8カ月間, 頻拍の再発は認めない. 心内膜側からのカテーテル焼灼術が無効であった拡張型心筋症に伴う心室頻拍に対し, 心外膜側アプローチが有用であった症例を経験した. 頻拍時の12誘導心電図解析は心外膜側起源頻拍の術前診断に有用であった. 心外膜側アプローチによる焼灼術を治療の選択肢に加えることで心室頻拍に対するカテーテル焼灼術の成功率を改善し得ると考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.42.S2_135