著明な心拍変動を呈し,すべての心拍が肺静脈調律であった1例

症例は59歳,女性.2011年1月以降動悸の持続を認め,5月24日当科紹介受診した.心電図上HR 124 bpmのnarrow QRS tachycardiaで,Holter心電図ではHR 74-214bpm(平均151bpm),total QRS 190,347/22時間3分,long RP’tachycardiaを頻回に認めた.洞調律時と頻拍時のP波形は完全に同一であった.7月14日電気生理学的検査(EPS)を施行,入室時の基本調律は心拍数100bpm以下で一見洞調律様であり,断続的に心房頻拍を認めるようにみえた.心内電位を詳細に観察すると,洞調律と思われた時と心房頻拍と思われた時の心内興...

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Published in心臓 Vol. 44; no. SUPPL.3; pp. S3_197 - S3_202
Main Authors 前田, 真吾, 田尾, 進, 岡田, 寛之, 内藤, 貴基, 原, 信博, 鍵山, 暢之, 山口, 徹雄, 小西, 裕二, 梅本, 朋幸, 山内, 康照, 尾林, 徹, 宮本, 貴庸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2012
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.44.S3_197

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Summary:症例は59歳,女性.2011年1月以降動悸の持続を認め,5月24日当科紹介受診した.心電図上HR 124 bpmのnarrow QRS tachycardiaで,Holter心電図ではHR 74-214bpm(平均151bpm),total QRS 190,347/22時間3分,long RP’tachycardiaを頻回に認めた.洞調律時と頻拍時のP波形は完全に同一であった.7月14日電気生理学的検査(EPS)を施行,入室時の基本調律は心拍数100bpm以下で一見洞調律様であり,断続的に心房頻拍を認めるようにみえた.心内電位を詳細に観察すると,洞調律と思われた時と心房頻拍と思われた時の心内興奮順序は完全に同一であった.両心房をマッピングしたところ,心房頻拍の最早期興奮部位は右上肺静脈中隔側の入口部であり,頻拍を呈さない異所性調律の時も同部位が最早期であることがわかり,同部位での1回の通電で異所性調律は停止し洞調律に復帰,以後心房頻拍もまったく出現しなくなった.持続する肺静脈調律で経過した症例報告は稀であるため報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.S3_197