下顎骨体部の原始性嚢胞に後発したと思われるエナメル上皮腫の1例

「緒言」原始性嚢胞はエナメル器の石灰化開始前に歯胚が嚢胞化したものであり嚢胞腔内に歯の硬組織を含まないのが特徴のである. 一方, エナメル上皮腫は2005年版のWHO歯原性腫瘍新分類では充実型/多嚢胞型, 骨外/周辺型, 線維形成型, 単嚢胞型の4型に分類されている. 両疾患とも画像上で多房性あるいは単房性の透過像を呈し, 膨張性に発育し増大すると顎骨を膨隆させ, 羊皮紙様感を呈する. 両者の鑑別には病理組織診断が重要であるが, 単嚢胞型エナメル上皮腫と原始性嚢胞は組織学的にも酷似しており, 確定診断が困難な場合が多い. 今回われわれは当初, 原始性嚢胞と診断された病変部にエナメル上皮腫が後発...

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Published in小児口腔外科 Vol. 17; no. 1; pp. 51 - 55
Main Authors 千葉, 博茂, 高森, 基史, 長谷川, 温, 時崎, 洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児口腔外科学会 25.06.2007
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ISSN0917-5261
1884-6661
DOI10.11265/poms1991.17.51

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Summary:「緒言」原始性嚢胞はエナメル器の石灰化開始前に歯胚が嚢胞化したものであり嚢胞腔内に歯の硬組織を含まないのが特徴のである. 一方, エナメル上皮腫は2005年版のWHO歯原性腫瘍新分類では充実型/多嚢胞型, 骨外/周辺型, 線維形成型, 単嚢胞型の4型に分類されている. 両疾患とも画像上で多房性あるいは単房性の透過像を呈し, 膨張性に発育し増大すると顎骨を膨隆させ, 羊皮紙様感を呈する. 両者の鑑別には病理組織診断が重要であるが, 単嚢胞型エナメル上皮腫と原始性嚢胞は組織学的にも酷似しており, 確定診断が困難な場合が多い. 今回われわれは当初, 原始性嚢胞と診断された病変部にエナメル上皮腫が後発したと思われる症例を経験したので報告する. 症例 患者:13歳, 男児. 主訴:左側下顎骨の腫脹. 既往歴:特記事項なし. 現病歴:2002年10月頃より左側下顎骨体部に軽度の違和感を自覚したが放置していた. その後, 近医よりエックス線写真で左側下顎骨の透過像を指摘され, 2003年12月6日精査目的に当科を受診した.
ISSN:0917-5261
1884-6661
DOI:10.11265/poms1991.17.51