血清前立腺抗原値の本邦における正常値, および米国人との比較検討

本邦における前立腺癌の腫瘍マーカーとしての意義を検討するため, 健常人血清中の前立腺抗原 (Prostate antigen: PA) 値を測定し, 既報の米国人正常値, 2.5ng/ml以下と比較した. 検討対象は, 一般検査, 病歴によって異常を認めなかった158例 (男; 132, 女; 26) で, 平均年齢は男30.7歳, 女28.5歳であった. 血清PA値の測定は, 感度0.10ng/mlを有する sandwitch type のEIA法であった. 女性例のうち, 24例 (92%) は測定不能で, 残りの2例も, 0.12, 0.13ng/mlと低値であった. 一方, 男性例では...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 75; no. 5; pp. 802 - 806
Main Authors 藤本, 佳則, 岡野, 学, 西浦, 常雄, 竹内, 敏視, 坂, 義人, 藤広, 茂, 栗山, 学, 出口, 隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 1984
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ISSN0021-5287
1884-7110
DOI10.5980/jpnjurol1928.75.5_802

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Summary:本邦における前立腺癌の腫瘍マーカーとしての意義を検討するため, 健常人血清中の前立腺抗原 (Prostate antigen: PA) 値を測定し, 既報の米国人正常値, 2.5ng/ml以下と比較した. 検討対象は, 一般検査, 病歴によって異常を認めなかった158例 (男; 132, 女; 26) で, 平均年齢は男30.7歳, 女28.5歳であった. 血清PA値の測定は, 感度0.10ng/mlを有する sandwitch type のEIA法であった. 女性例のうち, 24例 (92%) は測定不能で, 残りの2例も, 0.12, 0.13ng/mlと低値であった. 一方, 男性例では, 42例 (32.%) が感度以下で, 最高値は1.8ng/mlであった. 測定不能例を0.10ng/mlとみなすと, 男性例における平均値±標準偏差 (S. D.) は, 0.33±0.28ng/mlとなり, 平均値+3S. D.を正常上限値とすると, 1.2ng/ml以下が本邦成人男子の正常値と考えられた. 米国人における正常値は≦2.5ng/mlであるが, 45例の前立腺癌患者における成績の米国人の正常値による陽性率は51% (23/45) となるが, 上述の本邦の正常値によれば62% (28/45) へと上昇した.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.75.5_802